マックの早すぎる死
薬物過剰摂取のため26歳で他界したマック・ミラー。業界人から愛され、ラッパーとしてこれからという時に亡くなってしまったマックの軌跡を歴代ソングから振り返る。
「セルフ・ケア(Self Care)」
マックが残した最後のシングル曲となってしまった「セルフ・ケア(Self Care)」は、映画『キル・ビルVol.2』の棺桶から抜け出すシーンをオマージュしたMVが大きな話題を呼んだ。
そのシーンで、棺桶の中にいるマックがナイフで「mementomori」と刻むシーンがあるのだが、不覚にもこの言葉はラテン語で「あなたは死ななければいけないことを忘れるな」という意味だった。
「ザ・ウェイft.マック・ミラー(The Way ft. Mac Miller)」
マックの名前がポップミュージック界に広く認知されたきっかけとも言えるのが、アリアナ・グランデとのこの曲。約2年間交際していた元恋人同士の2人だけれど、当時はまだ交際に至っていなかった。
しかしながら、同MVでのアリアナとマックのロマンチックなキスシーンから交際が囁かれるようになった。
同曲は、アリアナとの2曲目のコラボで、2人はアリアナのクリスマスソングカバー「ベイビー・イッツ・コールド・アウトサイド」で初コラボを果たしている。
「ウィークエンド(Weekend)」
ミゲルをフィーチャリングに迎えた同曲は、マックのキャリア最大のヒットソングのひとつ。ラップなのに耳に心地よい、そしてユニークな歌声が響く彼の新旧の良いところを汲み取ったようなポジティブソング。
この頃からマックは、今では新鋭アーティストとして一目置かれるチャンス・ザ・ラッパーやジ・インターネットといった面々を自身のツアーに同行させたり、自ら彼らのツアーに参加したりして、結果的に同世代の他のアーティストのキャリアを後押しした。
「ファイト・ザ・フィーリング(Fight the Feeling)」
ケンドリック・ラマーをフィーチャリングに迎えた同曲では、厳しい現実と夢との間で葛藤する感情を表現。
マックの幼少期や駆け出し時代の思い出に浸るノスタルジックな曲である一方で、夢を追いかける若い世代へエールを送る応援歌にもなっている。
「リメンバー(REMember)」
マックの親しい友人が亡くなったことを受けて、その喪失感や儚い人生について歌った曲。後半にかけてよりダークになっていく展開は、マックの悲しみを絶妙に表現している。
しかし、最後には命ある限り自分の限界を決めずに真の自分探しを続ける大切さを訴える、完成度の高い1曲に仕上がった。
「ドナルド・トランプ(Donald Trump)」
裕福になりたいという願望をまだ大統領になる以前のドナルド・トランプ氏の名前を使って表現したマック。
同曲は、トランプ本人から「二度と私の名前を使うな」というツイートでバッシングされたけれど、後に大統領選で再びこの曲が注目されるとトランプ氏から「彼は次のエミネムだ」と米Business Insidersの取材で賞賛されたという、本人から賛否の評価を受けた稀な作品。
「クール・エイド&フローズン・ピザ(Kool Aid & Frozen Pizza)」
2010年、当時18歳のマックがリリースした4枚目のミックステープ『K.I.D.S.』に収録された同曲。まだあどけないマックの姿が印象的だけれど、同曲やこのミックステープは当時のアメリカ人中高生の間で絶大な人気を誇った。
人気モデルのベラ・ハディッドはインスタグラムのストーリーに投稿した追悼メッセージで、このミックステープを「みんなが全曲の歌詞を覚えようとしていた」と思い出を振り返った。
(フロントロウ編集部)