「アライグマの首都」と呼ばれるカナダのトロントで起きていた市とアライグマのゴミ箱戦争をご存じだろうか?
画像: トロントVSアライグマの「ゴミ箱戦争」、2年でアライグマが知恵勝ち

 超高層ビルのCNタワーや名物グルメのプーティーンで知られる、オンタリオ州の首都トロントが持つ異名。それが、「アライグマの首都(World Capital of Raccoon)」というもの。

 2002年に環境のためにオーガニック・ビン(別名グリーン・ビン)という堆肥可能なゴミ専用のゴミ回収をはじめたところ、生ごみを狙ってアライグマが襲来。それ以来トロントでのアライグマの数は急増し、2017年の調査では、実に10万という数のアライグマがトロントに生息していると発表された。

新型ゴミ箱を導入

 生ごみを散乱させるアライグマはトロント市民の大きな問題となり、それを解決すべく2016年にトロント市長が発表したのが、開きにくい蓋を採用した新型ゴミ箱。

 オーガニック・ビンはグリーン・ビンと呼ばれているが、トロント市長のジョン・トーリーが公開した実験動画では、旧型のグリーン・ビンがアライグマにすぐに開けられたのに対して、新型のグリーン・ビンはアライグマが何度トライしても開けられることはなかった。

画像: The Green Bin 2.0 www.youtube.com

The Green Bin 2.0

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 30億円以上をかけて導入された新型グリーン・ビンについて、ジョン・トーリー市長は当時の記者発表で、「我々には備えがあり、我々は武装もしている。この動物に敗れるわけにはいきません」と、笑い交じりに宣言していた。

去ったアライグマ、悲しむトロント市民

 トロント市長の意気込みどおり、新型グリーン・ビンはアライグマ対策に大きく役立った。

 しかし自宅周辺でアライグマが目撃される回数が減ると、アライグマに悩まされていたトロント市民の間では、アライグマの行方を心配する声が続出。

画像: 去ったアライグマ、悲しむトロント市民

 現地の新聞Toronto Starでは、動物行動学者のスーザン・マクドナルドのもとにトロント市民から届いた、「彼らは餓死したのか?」「我々は何をしてしまったんだ?」といった心配の声が紹介された。

 害があるけれど愛おしい。まるでたちの悪い恋愛のような関係をアライグマと築いてしまったトロント市民。しかしこの不思議な関係が、2018年に新たな局面を迎えた。

アライグマが知恵勝ち

 2018年に入って、新型グリーン・ビンがアライグマに破られたという報告が聞かれるように。

 4月にはアライグマが30秒ほどでグリーン・ビンの蓋をこじ開ける動画がフェイスブックに投稿され、コメント欄には、「企画会議のやり直しだな(笑)。なんて利口な動物なんだ」「ゴミ箱パンダをナメちゃいけない」などと、人間に知恵勝ちしたアライグマを称賛するコメントが並んだ。

 新型グリーン・ビンの推奨者の間では「蓋をきちんと閉めてなかったから」と擁護する声があったが、Toronto Starの記者エイミー・デンプシーの実験動画でそれが覆された。

 記者が設置したカメラには、トロント市が30億円以上かけて導入した難攻不落なはずの新型ゴミ箱の蓋についたハンドルを、アライグマが起用にクルクルと回す姿が映っていた。

画像: Toronto raccoon caught in the act, Attempt #2 www.youtube.com

Toronto raccoon caught in the act, Attempt #2

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 トロント市が30億円をかけて行ったのは、アライグマの知能を向上させることだったことが分かったこの一件。トロントVSアライグマのゴミ箱バトルはまだまだ続きそうだが、今回はアライグマの勝利で終わった。(フロントロウ編集部)

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