アイルランドで施行されていた中絶禁止法により、約6年前にインド出身のサヴィータ・ハラパナバルがお腹にいた胎児とともに命を落としたことを受けて、女優のエマ・ワトソンが公開手紙を発表した。

中絶禁止法の犠牲になったサヴィータ・ハラパナバル

 2012年10月、当時妊娠17週目だった歯科医のサヴィータ・ハラパナバルは、アイルランドの大学病院に運ばれ流産と診断されるも、中絶することを病院側が認めなかったことで、心肺停止に陥り、1週間後に敗血症で亡くなった。

画像: 中絶禁止法の犠牲になったサヴィータ・ハラパナバル

 アイルランドでは、母体の命に危険がある場合やレイプ被害者でも事実上、中絶することが法律で禁止されていた。

 サヴィータの事例を受けてこの法律への批判が世界中で広がり、2013年に母体の命に危険がある場合と女性に自殺願望が見られる場合にのみ中絶が認められた。

 しかし、2014年にはレイプ被害者が中絶処置を受けられず、帝王切開で出産させられた出来事が問題となり、法改正をした後も中絶禁止法への風当たりは以前強いままだった。

 こうした背景を受けて、2018年5月に中絶を合法化するための国民投票が行われると、過半数で可決。ついに中絶が合法化された。

「生殖の自由」のために闘う

 アイルランドの中絶合法化の支持者がサヴィータの写真などを引用したことから、中絶禁止法に対抗するアイコン的存在になったサヴィータについて、女優のエマ・ワトソンが米Net-A-Porterを通して公開手紙を発表。

 エマは、サヴィータの死を慎むとともに、「(中絶法による)死が不平等のシンボルとなり、正義を勝ち取ることが出来たことは珍しく、それでも、歴史上においてフェミニストの勝利は、世界中で生殖の正義を訴える人々を勇気づけました」と、アイルランドの合法化が世界中にまだある中絶禁止法を廃止する大きなステップとなったと語った。

 その上でエマは、今回合法化されたアイルランド以外にも、アルゼンチンやポーランドなど未だに中絶を禁止する国があることや、中絶を受けるためにイギリスに行かざるを得ない女性たちがいることを綴るとともに、「サヴィータの思い出と、私たちの自由のために、生殖の自由のために闘い続けます」と、パワフルなメッセージを送った。(フロントロウ編集部)

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