ジェンダー・ニュートラルな教育とは
「男の子はブルーで、女の子はピンク」「男の子だから泣くな、女の子だから行儀よく」といった、男の子・女の子に対して社会が持つ先入観や価値観、ジェンダー・ステレオタイプ。
近年、これが男女両方の行動や考え方を制限しているとして、ジェンダー・ステレオタイプの少ない社会、つまり「Gender Neutral(ジェンダー・ニュートラル=どちらのジェンダーにも偏らない中立の状態)」な社会を求める声が増えている。
「男の子は自然と男の子が好きなものに興味を持つ」と反論する声もあるが、大人が知らず知らずのうちに男女の区別を子供に教えている可能性を示唆したのが、2017年にイギリスで行われた実験。
男女の赤ちゃんの洋服を交換した実験に参加した被験者たちは、ワンピースを着た赤ちゃんとは人形やぬいぐるみで遊び、ズボンを着た赤ちゃんとはパズルや車のおもちゃで遊んだのだ。この実験から、社会にある「男の子はこう、女の子はこう」というステレオタイプのせいで、幼い頃からジェンダーが選択肢や可能性をコントロールしている可能性が明らかとなった。
ジェンダー・ニュートラルな子育てをするセレブたち
子供にはジェンダー・ステレオタイプに制限されない生き方や考え方をしてほしいと、“女の子らしい・男の子だから”という考え方にとらわれない子育てをしているセレブたちがコチラ。
ゾーイ・サルダナ
伊アーティストのマルコ・ペレゴとの間に3人の息子がいる映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のゾーイ・サルダナは、「うちはジェンダー・ニュートラルな家庭。伝統的に女性に与えられてきた仕事の多くを夫がこなし、テレビを組み立てたり物を直したりっていう“男の仕事”を私がこなすこともある。ジェンダーに縛られない家庭だと思う。男児だろうと女児だろうと、こういう環境で育てることはすごく大事だと思っているから」と明かした。
ビヨンセ
シンガーのビヨンセは、子供たち全員に自信にあふれ、自立し、優しく、感情的な人間になってほしいと思っているそうで、ジェンダー・ステレオタイプに流されない育をしているという。「(娘たちは)特定のタイプである必要も、特定のカテゴリーに収まる必要もないのです。私は息子にも同じことを望んでいます。息子には、強くて勇敢なだけでなく、繊細で優しい人間にもなれることを知ってほしいのです。息子には、思いやりや真実性、誠実さを自由に発揮できるような、高い感情的IQを持っていてほしいのです。これは女性が男性に求めるすべての要素ですが、私たちはそれを息子たちに教えていません」と語った。
アンジェリーナ・ジョリー
俳優のブラッド・ピットとの間に、養子と実子を含めて6人の子供がいる女優のアンジェリーナ・ジョリー。2014年のラジオインタビューで子供の興味について聞かれた時に「子供から示されるまでは、本当のことは分からないものだから」と答えたアンジェリーナは、洋服から趣味まで、何を選ぶかは子供に導かせているという。
ブライス・ダラス・ハワード
映画『ジュラシック・ワールド』のブライス・ダラス・ハワードと俳優のセス・ガベル夫妻は、2012年に誕生した第2子である長女には、「女の子だからドレス」というやり方を取らない心がけをしたという。「最初は、長男からのおさがりを着せる手法を取った」と明かしたブライス。「娘の方から私に方向性を示してくれるまで待ちたかったの」と語り、娘が自分で判断できる年齢になるまで影響を与えずに見守ったという。
キーラ・ナイトレイ
ジェンダー・ステレオタイプを植えつけてしまうという理由で、ディズニーのアニメ映画の一部を家庭で禁止しているのは、ディズニー社の映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』のキーラ・ナイトレイ。「まず『シンデレラ』は禁止。困難な状況に置かれた時に、娘がお金持ちの男に救ってもらおうとするかもしれないから。そんなのダメ。自分の力でどうにかしなくちゃ」と語った。
オリヴィア・ワイルド
コメディアンのジェイソン・サダイキスとの間に4歳の息子と2歳の娘を持つ女優のオリヴィア・ワイルドは、娘がどこから聞いたのか、“ピンク=自分のもの、ブルー=お兄ちゃんのもの”と言い出したことにショックを受けたそうで、「せめて(家庭では)、娘が自分で自分を制限する考え方をしないように育てていこうって誓った」と告白。
ミーガン・フォックス
長男のノア君がディズニープリンセスのドレスを着ている姿を目撃され、一部の人から「非常識」「ゲイになる」などと批判された、女優のミーガン・フォックスと俳優のブライアン・オースティン・グリーン。これについてブライアンは、「息子は4歳だ。ドレスだろうが、ゴーグルだろうが、スリッパだろうが、着たいものを着る」「とくに、4歳か5歳の時は何ごとも楽しむべきだ。ドレスを着ても誰にも危害が出ないんだから、いいじゃないか」と、夫妻の子育て観を語った。
ジェンダー・ステレオタイプに縛られない、よりジェンダー・ニュートラルな子育てをする親が増えている海外。企業側でも動きがあり、アメリカでは、量販店のターゲットが「男の子のオモチャ」といったジェンダー表記を売り場からなくすことを発表。イギリスでも、百貨店のジョン・ルイスが2017年から子供服にジェンダーを記載しないで販売している。(フロントロウ編集部)