1964年に公開されたオリジナル版『メリー・ポピンズ』から約半世紀の時を経て、続編として制作されたミュージカル映画『メリー・ポピンズ・リターンズ』。
日本でも2019年2月に公開される同作で、自身がオリジナル版で演じた役柄を50年以上ぶりに再演する俳優がいる。
それが、オリジナル版で主人公メリーの親友で煙突掃除夫のバートを演じたディック・ヴァン・ダイク。
現在92歳のディックは、じつはオリジナル版でバート役のほかにも、メリーが家庭教師として雇われたバンクス家の父ジョージ・バンクスが勤めていた銀行の頭取であるミスター・ドース・シニア役も熱演。キャストの中で唯一1人2役をこなしていた。
しかし、じつは、ディックがミスター・ドース・シニア役を演じることについては、制作当初から決まっていたわけではなく、当時まだ30代だったディックが貫禄のある白髪の老人であるミスター・ドース・シニアを演じることに、ディズニー・スタジオの創設者であるウォルト・ディズニーが難色を示していたという。
なんとかウォルトを説得して1人2役を演じたことについて、ディックは『メリー・ポピンズ・リターンズ』の制作を記念して放送された米ABCの特別番組でのインタビューで衝撃の裏話を告白。
なんとディックは、4,000ドル(約45万円)という当時にしては大金とされる額を払って、ミスター・ドース・シニアの役を“買っていた”のだ。
ディックは、このときのエピソードについて、昔懐かしい笑い話としてこんな風に話している。
「(ウォルトに)ギャラは要らないからやらせてくれって言ったんだ。結局、彼に4000ドルを払ったよ。あの役をやるために、僕は(ギャラを貰うのではなく)金を払わなくちゃならなかったんだ」
お金を払ってでも念願のミスター・ドース・シニア役を演じられたことについて「もう一回やれって言われたら、もちろんやるよ」と語ったディック。人からオリジナル版の『メリー・ポピンズ』に「バート役で出演しているんだね」と言われると、すかさず「ミスター・ドース・シニア役との2役をこなしたんだよ」と自慢しているというお茶目な“元の取り方”も明かしていた。
続編の制作の報せを受けたときは、本当に嬉しかったというディックは、「すぐに、『もちろん、僕も出演できるんだよね? 』と聞いたよ」と語り、続編では若い頃のような変装はせずに、ミスター・ドース・シニアの役を再演することができた喜びに目尻を下げていた。
『メリー・ポピンズ・リターンズ』は2019年の2月1日全国ロードショー。
『プラダを着た悪魔』のエミリー・ブラント演じる主人公のメリー・ポピンズをはじめ、トニー賞受賞ミュージカル『ハミルトン』のリン・マニュエル・ミランダ演じるジャック、『ハリー・ポッター』シリーズのジュリー・ウォルターズ演じる家政婦のエレン、『キングスマン』シリーズのコリン・ファース演じるマイケルの上司ウィリアム・ウェザーオール・ウィルキンス、さらに『マンマ・ミーア』シリーズのメリル・ストリープ演じるメリー・ポピンズの少し変わったいとこのトプシーなど、豪華キャストの共演が話題となっている続編。オジリナル版にも出演したディックがミスター・ドース・シニアとしてどんなスパイスを加えているのかにも注目したい。(フロントロウ編集部)