よくある通常の学校生活の風景を描いた動画「Point Of View(視点)」が訴える大切なこととは?(フロントロウ編集部)

“気がついた時にはもう遅い”

 生徒会の選挙日で、立候補者たちが投票を呼びかける声が響く、セントラル・テイト高校での「よくある学校生活」を描いた動画が「サンディフック・プロミス(Sandy Hook Promise)」という団体によって公開された。

 生徒それぞれの「Point Of View(視点)」があることを主張したこの動画は、一見、通常の学校生活を描いているように思えるが、そこには衝撃のラストが隠されていた。

 ある男子生徒が通学中に、友達と電話で誰に投票しようか話している映像から始まるこの動画。それから場面が切り替わり、今度は、女子生徒がスクールバスからでてきた友達と合流して楽しそうに校内へ入っていく映像に。

画像1: “気がついた時にはもう遅い”

 その間に、生徒会選挙に立候補する他の女子生徒が自分に投票するように呼びかけるピンク色のポスターを配っている姿が映る。

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 友達と合流した女子生徒は「これには投票しないわ」といって、ピンクの紙をぐしゃっと丸めてポイ捨てした。

 その紙に視線を落とす映像から一転、映像は校内へと切り替わる。

画像3: “気がついた時にはもう遅い”

 グリーンのポスターに落書きされているのに気がついた別の立候補者が憤慨してポスターを剥がしている姿を横目に、先生が生徒のロッカーを開けた直後、「どっか行って!」と叫ぶ女子生徒と「元カレに投票するなよ」と言い返してケンカをしているカップルが廊下を通る。

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 そしてまた映像が切り替わり、今度はカフェテリアに。席が空いたテーブルから見渡す光景には、またもやピンクのポスターを持って選挙活動に勤しむ女子生徒が、人の多いテーブルを歩き回っている。

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 それから映像は、図書館を歩き、男子更衣室では体格の良い生徒とぶつかり、そして校庭では何かが投げられ女子生徒グループから何か言われるような顔をされる映像へと切り替わる。

 最後にたどり着いたのは、選挙の演説が行われるであろう講堂のすぐそばにあるトロフィーなどが飾られたガラスケース。

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 ここで映像から荒い息遣いが聞こえるようになり、視線は地面に置いたバッグの中へ。手が伸びてバッグのファスナーを開け、中から取り出したのは…、なんとマシンガン。

 マシンガンを手に視線を上げるとガラスケースにはチラリと男子生徒の姿が映される。それからその男子生徒はその場で心を決めたように深呼吸をすると、講堂に入り銃先を生徒に向けて「僕を見ろ!」と大声で叫び、そこにいた生徒たちの悲鳴が広がり映像は終わる。

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 そしてその映像には、「ほとんどの人は手遅れになってから銃撃犯に気がつく」「銃撃が起こる前に止めて、サインを見逃さないで」というメッセージが映し出される。

画像: Point Of View www.youtube.com

Point Of View

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銃撃犯の悲しい「視点」

 この映像は、最後に銃撃犯となってしまったある生徒の「Point Of View(視点)」からみた学校生活。

 この映像が、1人の生徒の視点で描かれていることを意識してもう一度見てみると、この男子生徒には友達がおらず通学中でもランチでも常にひとり。

 さらには、おそらく他の生徒からのいやがらせで開かなくなってしまい先生に開けてもらう羽目になったロッカーには、銃や毒などのステッカーが貼ってあり、更衣室や校庭では他の生徒たちから嫌悪感漂う視線が向けられるなど、動画のところどころに男子生徒が受ける「いじめ」が映されていた。

画像1: 銃撃犯の悲しい「視点」

 そんな男子生徒の沸点が頂点に達した結果、起きてしまった銃乱射事件。この映像は、そんな恐怖が身近に隠されているかもしれないということと、それが予防できるかもしれないということを訴えたもの。

 この動画を公開した「サンディフック・プロミス(Sandy Hook Promise)」は、2012年に起きたサンディフック小学校で起きた銃乱射事件の被害者と専門スタッフが運営する団体。
 以前フロントロウでも取り上げた、学校内で起こりうる銃乱射事件をイメージした動画を公開したのもこの団体。

 全米で起きた銃乱射事件は、米CHDSの調査結果によると2018年だけで325件に及ぶといい、そのうちの60件が学校内で起きた。

 なかでも2月に起きたフロリダ州マージョリー・ストーンマン・ダグラス高校の銃乱射事件では、その被害者たちが大規模デモ「March for Our Lives(命のための行進)」を発足し、未成年たちを筆頭に銃規制を訴え、世界中に大きな影響を与えた。

画像2: 銃撃犯の悲しい「視点」

 銃に関連する悲しいニュースがとくに多く報じられた2018年。これ以上、犠牲者を増やさないためにも、今回の動画のように、未然に防げるかもしれない事件があることや、銃規制の重要性を多くの団体が訴え続けている。(フロントロウ編集部)

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