今年1月、それまでリアリティスターのカイリー・ジェンナーが保持していた1800万件超えという史上最多「いいね」の記録を破るべく、突如、開設されたアカウント「world_record_egg(世界記録を持つ卵)」。
何の変哲もない1個の卵は、世界中のユーザーたちの協力を得て現在までに5200万件の「いいね」を獲得し、見事トップの座に躍り出た。
それから1カ月、「ユージーン(Eugene)」と名づけられたこの卵に異変が…。
ユージーンの殻には、数日おきに少しずつ、ヒビが入り始めていた。
「一体、中からは何が出てくるんだろう? 」と人々が大きな期待を寄せるなか、ある動画が公開に。
映像の中で、なんと、ユージーンは木っ端みじんに割れてしまった。突然手にした名声や、SNS上で“いいね”を獲得し続けなければいけないというプレッシャーに耐えきれなくなってしまったのだ…。
ショッキングな展開と見せかけて、じつは、これ、SNSに起因するプレッシャーや不安、ストレスなどに苦しむ現代人に対して、一人で悩んでパンクしてしまうのではなく、誰かに胸の内を話すことで楽になろうと呼びかけるメンタルヘルス・キャンペーンの公共広告。
動画内でも紹介された特設サイト「Talkng Egg(トーキング・エッグ)」)には、世界各国の相談窓口の連絡先リンクが掲載されている。
ユージーンは、動画や投稿に添えられたコメントの中で「SNSのプレッシャーに耐えられなくなっちゃった。もしも、きみも同じような悩みを抱えているなら、誰かに話してみて」、「話したらスッキリしたよ」と、つらい時は一人で抱え込まずに、サポートを求めることの大切さを訴えている。
この動画は、世界中の注目が集まる米NFLのシーズン決勝戦、スーパーボウルの開催後にストリーミングサービスのHuluで先行公開。
いまや世界で最も宣伝効果のある卵となったユージーンだけに、公開前、予告としてフットボールを模したステッチが施されたユージーンの写真が公開された際には、一部では「世界一有名な“卵”が人々に何かを売りつけようとしているようだ」と営利目的な内容の発表が予想されていた。
しかし、フタを開けてみると、ユージーンが自身の立場を活用して訴えたのは、お金儲けのための告知などではなく、SNS時代を生きる人々への重要なメッセージだった。(フロントロウ編集部)