涙で崩れたメイクを直す“影の功労者”
映画界最高峰のアワードであるアカデミー賞。セレブたちは、この日のために、何カ月も前から、スタイリストやヘアメイクアーティストとともに着用するドレスやメイク、ヘアスタイルなどの計画を練り、“最高の姿”でレッドカーペットに登場する。
しかし、授賞式のステージでは、あまりの栄誉に感極まって涙を流してしまうセレブも…。
それでも、授賞式は続いていくうえ、その模様はライブ中継で全世界に配信。客席に座っていても、突然カメラに抜かれることもある。
授賞式の最初から最後まで完璧な姿を見せることが求められるセレブたちにとっては、涙で崩れてしまったメイクのままで残りの時間を過ごすというのはご法度となっている。
そんなセレブたちが心底頼りにしているのが、アカデミー賞専属のメイクアップアーティストたち。
通常、セレブがレッドカーペットに登場するまでのメイクは、個別に雇われた御用達メイクアップアーティストが手がけるものの、それ以降のメイク直しは、アカデミー側が用意したメイクアップアーティストたちの仕事となる。
では、この舞台袖で活躍する“影の功労者”であるアカデミー専属メイクアップアーティストたちは、涙で崩れてしまったセレブたちのメイクを、即座に、完璧に、元通りにしているのだろうか?
目からウロコのメイク直しテク
15年にわたってアカデミー賞のリード・メイクアップアーティストを務めているブルース・グレイソンがその秘密のテクニックを米UsWeeklyに紹介。目からウロコのメイク直し法を語った。
まず、ステージに登壇予定のセレブたちを担当したメイクアップアーティストたちから、その日のメイクに使用したコスメのリストを提出してもらうというブルース。
さらに、彼は担当メイクアップアーティストたちに、セレブのベースメイクに使用したファンデーションをビューティー・ブレンダー(BeautyBlender)と呼ばれるスポンジに染み込ませたものを小さな密封式ビニール袋に入れ、リップメイク用の口紅やグロスとともにクラッチバッグに入れておくよう依頼するという。
セレブ御用達メイクアップアーティストたちの必需品といわれるビューティー・ブレンダー。
「セレブが涙を流してしまったときは、非常に慎重に対処しなければいけません。とにかく早く目の下のファンデーションを塗りなおし、その後、ほかのアイメイクも修復します」と語るブルースが実践している方法は、まず、柔らかいコットンパフにクレンジング水を染みこませ、涙でにじんでしまった目の下のメイクをやさしくオフ。
その後、ファンデーションが染み込んだビューティー・ブレンダーをミネラルウォーター(エビアン)で少し湿らせ、ポンポンと叩き込むように目の下に塗っていく。その上から、コンシーラーをのせ、最後にアイラインやマスカラをお直しして仕上げるそう。
ちなみにブルースが愛用するクレンジング水は敏感肌用のスキンケアコスメに定評があるビオデルマ(Bioderma)のサンシビオH2O。こちらは日本でも1,200円~2,300円で購入できる。
アカデミー賞の舞台裏には、セレブがコンタクトレンズを失くしてしまった場合のレンズ液や、男性セレブがカミソリ負けで出血してしまった場合に出血を止める医療用パウダーなど、万が一の場合に備えたあらゆるアイテムが準備されている。
セレブたちが誰もが憧れる完璧な姿でアワードの終わりを迎えられるのは、ブルースをはじめとする、”縁の下の力持ち”たちの尽力があってこそだった。(フロントロウ編集部)