「フェミニスト」とは何ですか?定義が分からないです。
フェミニストとは、全ての性が平等な権利を持つべきだという理由から女性の権利を主張する行為(フェミニズム)を支持する人のことだと、英オックスフォード辞書で定義されている。
ビヨンセ
「みなさんはフェミニストの意味を理解しているのでしょうか。すごくシンプルなことです。男性と女性が平等の権利を持つべきだと信じている人のことです。この言葉にネガティブな意味合いを持たせる行為や、反対の性を除外する行為は理解できません」(Source)
専業主婦には、女性の権利運動はあまり関係ないですよね?
フェミニズムの影響は、職場だけでなく、家庭や学校にまで及ぶ。例えば「母親だからこうするべき」「女の子だからお手伝いしなさい」などといった、性別ごとに決められた考えを社会から撤廃することも求められている。
エマ・ワトソン
「(フェミニズムは)あなたに選択肢を与えるためのものです。首相になりたければなれば良いですし、なりたくなければそれはそれで素晴らしい。わき毛を剃っても、剃らなくても良い。ある日はフラットを履いて、翌日にはヒールを履いても良い。(中略)女性は自由に生きられるべきなのです。典型的なフェミニストは存在しないのです。こういう条件を満たさなくてはいけないなんて、どこにも書かれていないのですから」(Source)
「フェミニスト=男性嫌悪」ではないんですか?
本来、フェミニストは全ての性が平等であることを求める者のこと。だから、フェミニストを自称してるのに男性を差別するのは本末転倒。だからこそ多くの活動家は、男女両方の平等な権利を訴えている。
アリアナ・グランデ
「長いことフェミニストの定義が勘違いされてきましたが、男性嫌悪では絶対にありません。わたしは男の子が大好きですから。でも、同時に女性も大好き。平等であるべきってことです。女性たちを男性以上にしようってことじゃなくて、男性と同等にしようということなのです」(Source)
デモには参加しない場合は、ほかにどんな貢献方法があるのでしょうか?
社会運動はデモに参加しなくてもできること。シンガーのザラ・ラーソンが提案する方法もその一つ。大きな変化は、1人ひとりの変化の集まりであることを忘れないで。
ザラ・ラーソン
「毎日通りに出て『私はフェミニストなんですっ!』って叫べってことじゃないんです。ただ、誰かが性や人種にまつわる差別的なジョークとかを言った時に、『それ面白くないよ』って言うってことです。もちろん、“退屈なヤツ”になるのは簡単なことじゃないのは分かります。でも私は“愚か者”になるくらいなら“退屈なヤツ”になりますよ」(Source)
親が家庭でできる貢献方法はありますか?
家庭によって何が適切かは変わってくるけれど、マーベル女優のゾーイ・サルダナや元米大統領夫人のミシェル・オバマは、こんな形で、性別にまつわる固定概念に縛られない考え方を子供たちに教えている。
ゾーイ・サルダナ
「うちでは、伝統的に女性に与えられてきた仕事の多くを夫がこなしますし、テレビを組み立てたり物を直したりっていう“男の仕事”を私がこなすこともあります。性別に縛られない家庭だと思いますね。男児だろうと女児だろうと、こういう環境で育てることはすごく大事だと思っていますから」(Source)
ミシェル・オバマ
「愛情深く子供にエネルギーを捧げる母親としての姿を娘たちに見せると同時に、自分自身にもエネルギーを捧げる母親の姿も見せてあげたいのです。彼女たちのような若い女性に、優先リストのもっと上の方に自分を置いても良いのだということを教えてあげたいのです」(Source)
男性もフェミニストになれますか?
フェミニストは性別に関係なく、男女平等を願う人すべてがなれるもの。最近は、フェミニスト=女性だけがなれるものという勘違いを正すために、フェミニストであると公言する男性セレブが増えている。
クリス・ヘムズワース
「私はフェミニストだ。性別、人種、性的指向に関係なく誰もが平等に扱われるべきだと信じている。(中略)私には娘がいるが、弟や私と同じチャンスが娘にも与えられることを願っています」(Source)
ダニエル・ラドクリフ
「全員が平等な権利を持つできだと信じているという理由で、僕はフェミニストですよ」(Source)
あまり理解していないから、話題に触れるのが怖いです。
今では女性の活躍をリードする女性たちでさえ、フェミニストという言葉の意味すら理解していない時期があった。あなたは1人じゃない!
ケイティ・ペリー
「じつは昔は私自身も、言葉の意味をよく分かっていなかったんです。今はもう理解してます。私は女性として自分を愛していて、そして、男性も愛しているということです」(Source)
テイラー・スウィフト
「フェミニストであると言うことが、男女が平等な権利とチャンスを与えられることを願っているということだって、10代の私は知らなかった。(フェミニストという言葉が)社会の中で使われているのを見て、男性を嫌うことだと思っていたのです。でも今は、多くの女の子が言葉の意味を理解したおかげで、フェミニストとして目覚めていると思います」(Source)
フェミニストは敬遠されている?世代によって変化
フェミニストは男性嫌い、といった誤ったネガティブイメージがついてしまっているせいで、日本だけでなく欧米でも、フェミニストという言葉を敬遠する人はまだまだ多い。
2018年にYouGovによってイギリスで行なわれた調査では、81%が「すべてにおいて男女は平等に扱われるべきだ」と回答。しかし、そのようにフェミニズムを支持する人が大半でありながら、「フェミニストである」と答えた人は27%に留まり、女性の権利運動への支持は広がる一方で、フェミニストという言葉への共感は同じスピードで拡大していないことが分かった。
一方で、テイラー・スウィフトの発言でもあったように、10代のあいだでは少しずつ変化が見られている。UM Londonによる2017年の調査では、13~18歳のイギリス人女性の69%がフェミニストであると自認。18~24歳の54%、25~34歳の44%、55歳以上の36%と、若ければ若いほどフェミニストと自認する女性が増えるところを見ると、時代と共にフェミニストという概念が受け入れられていることが分かる。
イギリスの10代男女を対象とした2017年の調査では、59%が有名人にインスパイアされると答えており、そんな彼らに最も人気だったのが、女優のエマ・ワトソンだった。エマは、男女平等と女性の地位向上を目指す国連組織UNウィメンの親善大使を務めるセレブ界きってのフェミニスト。フェミニストやフェミニズムの本来の意味への理解促進にも力を入れており、彼女のようなセレブが増えていることが、親世代より若者世代でフェミニストが増えていることに影響していると考えられる。
多様なタイプの女性、さらに男性も共感できるインクルーシブなアピールを増やすなど、女性の権利運動を社会で広げるための課題はまだまだ存在する。しかし、まずはフェミニズム/フェミニストの本来の意味をきちんと理解してもらうことから始めなくてはいけない。(フロントロウ編集部)