15歳の少女が始めた活動が100万人の若者を動かす
16歳のグレタ・トゥーンベリは、スウェーデンの環境保護活動家。彼女が、世界中で100万人が参加した環境保護のためのデモを始めた、たったひとりの女性であることを知っているだろうか。
彼女の最初の一歩は、小さな、しかし、勇気あるものだった。
2018年の夏、北の国スウェーデンは通常の平均気温より15℃以上も高い32.5℃を観測。熱波と山火事に襲われた。気象学者によると気候変動が原因だという。地球の気候変動がいかに深刻か思い知ったグレタは、2018年の8月からたったひとりで、ある行動を開始した。
それは、学校に行かず、スウェーデン議会の前でデモを行なうこと。その横には、「環境のための、学校に行かないストライキ」という看板も。
当初このストライキは、スウェーデンでの選挙が終了するまで続けられる予定だったけれど、グレタは選挙後も、毎週金曜日は学校に行かずストライキを続けることに。彼女の活動は、すぐに世界の若者たちの間で有名になり、グレタも世界各国のリーダーが集まる会議などでのスピーチに招かれるようになった。
とくに、2019年1月に開催された世界経済フォーラムでの力強いスピーチは多くのメディアに取り上げられるほど話題になった。
「私たちの家が燃えています」。力強い言葉で始められたスピーチで、彼女は世界のリーダーたちにこう訴えた。
「大人たちはいつもこう言います、『若い子たちに希望を与えないとね』と。でも私はあなたたちの希望は欲しくありません。あなたたちに希望を持ってほしくもありません。大人たちにはパニックになってほしいのです。私たち若い世代が毎日感じている不安や恐怖を、大人たちにも感じてほしいのです。そして、行動してほしいのです。大人たちには、事件が起こっているように、私たちの家が燃えているかのように行動してほしいのです。なぜなら、事実そうなのですから」
彼女の勇気ある活動は世界中の若者たちを行動に移した。彼女の意見を支持する学生によるストライキは、「Youth for Climate(ユース・フォー・クライメート)」と呼ばれ、世界中の国で行なわれるように。最初は数人から、そして2019年3月15日には、世界112ヵ国で1,769ものストライキが行なわれ、その参加者は100万人を超えたと言われている。
グレタ及び世界の若者たちの行動は、国連のアントニオ・グテレス事務総長の強い支持を得るまでになり、事務総長は英Guardianへの寄稿で世界各国のリーダーに向けて、こうメッセージを送った。
「各国の首脳は、温室効果ガス排出量を2050年までに実質ゼロにするために、今後10年で45%削減し、2020年までに大幅に減らす『具体的で現実的な』計画を用意し、2019年9月に開かれる国連気候サミットに参加してください」
グレタ・トゥーンベリは、2019年のノーベル平和賞にノミネートされ、米Timeが発表した2019年の「最も影響力のある100人」のひとりに選ばれた。(フロントロウ編集部)