LGBT+コミュニティのために声を上げる
現地時間5月1日、アメリカのラスベガスで開催された米Billboard主催の音楽祭ビルボード・ミュージック・アワード(BBMAs)で、トップ・ロックアーティスト賞を受賞した人気ロックバンド「イマジン・ドラゴンズ(Imagine Dragons)」のフロントマン、ダン・レイノルズが、受賞スピーチの際にアメリカで現在も行われている「同性愛の矯正治療」と言われるコンバージョン・セラピーの廃止を訴えた。
以下、スピーチの全訳。
「今日、この場を借りて言いたいことがある。(アメリカに50州あるうちの)34の州ではコンバージョン・セラピーを廃止する法律が存在しない。けれど、LGBT+の若者たちの約6割(58%)がそれらの州に住んでいるのが実情だ。でも、みんなでそれぞれが暮らす州の州議会議員にそのことを訴えて、LGBT+の若者たちを守るための法律を作る後押しをすれば、現在のこの状況を変えることができる。
最後にもうひとつ。LGBT+の若者のうち、コンバージョン・セラピーを受けた人は(受けていない人の)2倍の率でうつになり、3倍の率で自殺する。コンバージョン・セラピーには何の効き目や効果もないし、今すぐ変える必要がある」
同性愛の矯正治療は「コンバージョン・セラピー」と呼ばれ、主に同性愛者を異性愛者に“矯正”または“転換”させるために行う一連の行為のことを指す。治療には、カウンセラーと話しながら進めていく会話療法や、電気ショック療法、同性愛者の指向を薬物や酒の依存症と同じような問題として扱う手法などが用いられる。アメリカのとくに保守的な地域ではいまだにコンバージョン・セラピーを行う施設が存在している。
今回、貴重な受賞スピーチの時間を使って、アメリカ国内のみならず全世界に向けてメッセージを発信したダンに、会場全体から割れんばかりの拍手と歓声が巻き起こった。
ちなみに、同性婚を容認していないモルモン教の信者が多く住むユタ州出身のダンは、自身もモルモン教徒でありながら、セクシュアリティを理由に迫害され、苦しむLGBT+の若者を救うべく積極的に支援活動を行なっていることで知られる。(フロントロウ編集部)