「肌色」と聞いて思い浮かべる色は何色ですか?
アメリカに住むドミニクは、45歳の黒人男性。ある日ケガをしたという彼は、ある絆創膏を初めて使ってみることに。その時の衝撃的な感情を、ツイッターでこう明かした。
「45年生きてきたけど、自分の肌の色の絆創膏をつけることが、どんな感じか初めて分かりました。1枚目の写真じゃ、どこに貼ってあるかも分からないでしょう?じつは今、泣きそうです」
It's taken me 45 trips around the sun, but for the first time in my life I know what it feels like to have a "band-aid" in my own skin tone. You can barely even spot it in the first image. For real I'm holding back tears. pic.twitter.com/GZR7hRBkJf
— Dominique Apollon (@ApollonTweets) 2019年4月19日
絆創膏は貼った部分が目立たないように、「肌色」であることが多い。しかしほとんどの絆創膏に使われている「肌色」は明るいトーンの色で、暗い肌の色を持つ人の肌にはマッチしない。ドミニクは、ダークカラーな絆創膏が存在することは知っていたが、これまで明るいトーンの“一般的”な絆創膏を使ってきたそう。そして45歳にして初めて自分の肌の色にマッチする絆創膏を使ったとき、思いがけない感情が溢れてきたという。
「こういう絆創膏があるのは知っていました。でも、こんな複雑な気持ちが渦巻くのは知らなかった。だってこれ…、すごく馴染んでる。子供のころから1000回以上は、『普通』の絆創膏を使ってきました。今、自分には居場所があるって感じる。自分には価値があるって。子供のころの自分に、そして何百もの有色人種の子供たち、とくに黒人の子供たちのために悲しくなっています」
絆創膏の色が明るいトーンであることが“社会の普通”だと思っていたドミニクは、ダークカラーの絆創膏を貼ったときに初めて、自分の肌の色が“社会の普通”として扱われていないことに気づき、涙した。彼の心を締めつける一連の投稿には、5万を超えるいいねと、3,000を超えるコメントが寄せられた。
「肌色」の物は絆創膏だけではない
3,000ものコメントのなかでは、肌色の「クレヨン」に触れる人も多く見つけられた。
「これって、私が子供のころに初めて『人種』ってものを意識したきっかけと同じだ。『肌色』のクレヨンもね」
絆創膏と同じく多くのクレヨンで「肌色」という色は存在するが、それはライトトーンな色。他の黒人女性も、「子供のころ、自分の肌の色に合う『肌色』のクレヨンを探そうと思った。でもどの色も自分にはマッチしなくて、動揺したことを覚えてる」と、幼少期の経験を語った。
また、この問題は映画業界のある人も悩ませているという。映画『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』で知られる黒人俳優のジョン・ボイエガはドミニクの投稿に、「分かるよ!映画の撮影ではケガをすることがたくさんある。だからメイクアップアーティストは、撮影で目立たないように絆創膏を茶色く塗らなきゃいけないんだ」と、知られざる映画撮影での苦労を明かした。
白人が“社会の基準”として有色人種よりも優遇される状況が、絆創膏やクレヨンにまで及んでいたことに多くの人が気づかされた今回の一件。ドミニクの一連の投稿には、肌の色にかかわらず、多くの人から称賛の声があがっている。(フロントロウ編集部)