介護福祉士から大富豪へ
2018年8月に、イギリスでチャールズ・ロジャーズという男性が車の中で亡くなっているのが発見された。チャールズの死は、ある男性とその家族の人生を変えることになった。

ジョーダン・アドラード・ロジャーズは、31歳の介護福祉士。恋人と息子と暮らす彼は、毎月の請求書を心配する生活を送っていたある日、チャールズ・ロジャーズの代理人と名乗る人から連絡をもらった。
身よりのないチャールズのたったひとりの息子かもしれないというジョーダンは、DNA鑑定を受けることに。その結果、ジョーダンはチャールズの息子だということが判明。チャールズの1人息子としてロジャーズ家の血筋を引き継ぐことになったジョーダンには、あるものが相続された。
それは、約75億円の価値がある約620万平方メートルの土地と、そこに建つお城のような46軒のコテージ。
620万平方メートルがどのぐらいの広さなのか分かりづらいけれど、東京ドーム約133個分の広さといえば、ジョーダンが相続した土地がどれほどの広さなのか分かるはず。

ジョーダンが相続した土地があるイギリスのコーンウェル地方の景色
ジョーダンの思い
そんなに広大な土地では、その維持費も超高額。しかし実はこの土地と家は、ロジャーズ家が1771年に購入した後、1974年にイギリスのチャリティ団体ナショナル・トラストに、ロジャーズ家への1000年に渡るリース権と引き換えに贈与されたもの。よって、この土地の維持はナショナル・トラストが行なっている。また、ジョーダン側にはナショナル・トラストから月に約60万円が支払われるという。
ジョーダンは、幼少期にチャールズとのDNA鑑定の話が持ち上がり、実現はしなかったものの、それによってチャールズが父親かもしれないということは分かっていたと英Cornwell Liveに明かす。その後20代になったジョーダンは、父かもしれないチャールズに多くの手紙を送ったが返事はなかったそう。そして3年前のある日、チャールズの代理人から、DNA鑑定をしたくないという意思が伝えられた。
しかし、その2年後に起きたチャールズの突然の死。ジョーダンの誕生から約30年の時を経て、やっと行なわれたDNA鑑定で、ついにジョーダンとチャールズは親子であることが明らかにされた。

介護福祉士から大富豪になったジョーダンだけれど、40年間にもわたり薬物中毒で苦しみ、62歳で、車の中で亡くなった父のことを思うと、喜びより悲しみが溢れるという。
「人々は僕がラッキーだと言いますが、もし昔に戻って生きているチャールズに、僕が彼の子供だと知らせることができるなら、僕はそっちのほうが良い。そうしたら、彼は違う道を歩んだかもしれませんから」
ジョーダンは今後、チャリティ団体を運営していくという。(フロントロウ編集部)