インドにある世界で1番大きな川中島、マジュリ島。ブラマプトラ川の中にあるこの島には約15万人が住んでいるが、過去70年間で3分の2が削られてしまった。そして、この先20年間で完全に消滅してしまう可能性が指摘されている。
そんな島に、たったひとりで東京ドーム約118個分の森林を作り出した男性がいる。ジャダブ・パイェン氏だ。
彼はたったひとりで、島の不毛地帯に少しずつ木の苗を植え続けた。その月日はなんと、40年間。
1979年、まだ16歳の少年だったジャダブ氏は、記録的な洪水、そして干ばつを経験。このままでは故郷の島が無くなってしまうと感じたジャダブ氏は、それから毎日40年間、木の苗を植え続けたという。
すると木は育ち、動物は戻り、東京ドーム118個分の森林が再生されるまでに。今では、ベンガルトラ、サイ、ハゲワシ、そして115頭もの象が生息している。
ジャダブ氏が育てた森林の根は土地の土をつなぎ止め、洪水が起こっても水を吸収する。ジャダブ氏は、政府が計画する人工的な洪水対策よりも、自然を育てることが島を守ってくれると英BBCに語る。
しかし、そんなジャダブ氏でも森林を守ることは大変だと感じているという。「1番の脅威は人間です」と、彼に密着したショートフィルム『Forest Man』でその思いを明かしたジャダブ氏。「人間はすべてのものを、なくなるまで使ってしまう」。
56歳になった今でも毎日木を植え続けている彼は、「私の夢は、マジュリ島をふたたび森林で埋めつくことです」と、自然が帰ってくる未来を夢見ている。
ジャダブ氏の小さな1歩は、大きな結果となって自然の一部に。私たちが些細だと思う行動も、私たちが住む地球に影響を与えることができると、ジャダブ氏の人生は教えてくれている。(フロントロウ編集部)