映画『アベンジャーズ』の俳優クリス・エヴァンスが、LGBTQ+の人々が開催する「プライド・パレード」に対抗して「ストレート・パレード」を開催しようと企てるグループを厳しく非難した。(フロントロウ編集部)

LGBT+に対抗する「ストレート・パレード」の開催を企画

 6月のプライド月間に合わせて、世界各地で企画されているLGBT+の権利向上や差別撤廃を目的とする「プライド・パレード」(別名:ゲイ・パレード)。

画像: LGBT+に対抗する「ストレート・パレード」の開催を企画

 これに対し、数人の男性が発起人となり、異性愛の素晴らしさを誇示する「ストレート・パレード」なるものを企画し、ボストン市に同イベントの開催許可を申請したことで物議を醸している。

 “It’s Great to be Straight(ストレートでいるって素晴らしい)”というスローガンを掲げ、男性メンバーのみで構成された『スーパー・ハッピー・ファン・アメリカ(Super Happy Fun America)』と称する団体が「ストレート・コミュニティへの尊敬やインクルーシヴィティ(包括性)、平等性、エンパワーメント、持続性、正当性、寛容さなどを啓発する」ことを目的として、ボストン市にストレート・パレードの開催を交渉中だとSNSを通じて発表。

ストレート・パレードの問題点

 一見すると“多様性のため”と取れるこのイベント。しかしこのイベントを批判している1人である著者ジェームス・フェルが、イベントの問題点を1本のフェイスブック投稿でまとめた。

「私はストレートであり、ストレートであることが気に入っています。その大きな理由の一部は、自分のセクシャリティを理由に偏見を受けたことがないからです。自分が選んだ人と結婚する権利を得るために闘う必要がなかったからです。自分が寝たいと思っている相手が気に入らないという理由で殴られたり殺されたりしないからです。カミングアウトする恐怖を感じたり、家族や友人、同僚のリアクションを心配する必要がないからです。

ストレートであることを理由に悪口を言われたことがありません。ストレートだから地獄に落ちると言われたことがありません。私に拷問を加えてストレートであることをやめさせようとする施設は存在しません。ストレートであるという理由だけで死が待っている国は世界中どこにもありません。

私は、ストレートであるせいで何かと闘ったり苦労したりしたことがないのです。そのため、プライドを持てる理由がひとつもありません。自分の特権に感謝しているかと聞かれれば、そうですねと答えます。しかしプライドがあるかって?僕にはそれが見当たりません」

 そもそもプライド・パレードは、LGBTQ+の人々が自分たちのセクシャリティへの誇りを誇示するために生まれたものではない。LGBTQ+とその支持者たちが、セクシャリティを理由に迫害される社会を変えようとするために生まれたもの。そのため、フェル氏のように、それと並べて“ストレート・パレード”を行なう行為に対して抗議が殺到している。

 ちなみにストレート・パレードの発起人の1人であるマーク・サハディは過去にも同じような手法でデモを企画しており、2018年には、「言論の自由デモ」と称して白人至上主義者によって頻繁に訴えられる主張を訴えて注目を集めた。


『アベンジャーズ』俳優が皮肉たっぷりに批判

 今回のパレードに怒りの炎を燃やしているのは、一般人だけではない。

 「ストレート・パレード」の開催が計画されているボストン出身で、映画『アベンジャーズ』シリーズでキャプテン・アメリカ役を演じた俳優のクリス・エヴァンスもツイッターを通じて、「ストレート・パレード」の主催者たちに向け皮肉たっぷりのコメントを投稿した。

画像: クリス・エヴァンス

クリス・エヴァンス

「ワォ! 素晴らしい発想だよ、君たち‼ ただの思いつきなんだけど、『ストレート・パレード』なんてやる代わりにこういうイベントはどうだい? 『幼い頃に自分の感情と対話する術を教わらなかったがために、ホモフォビック(同性愛嫌悪)を隠れ蓑にしてゲイにまつわる思想を必死に無かったことにしようとしている奴らのパレード』っていうさ。どう思う? あまりにも、あからさますぎるかな?」

 実弟で俳優のスコット・エヴァンスがゲイであることを公表していることから、以前からLGBTQ+コミュニティを熱心にサポートしているクリスは、感情的になった様子でそうツイート。

画像: 2019年のアカデミー賞受賞式にそろって参加したクリス(右)とスコット。

2019年のアカデミー賞受賞式にそろって参加したクリス(右)とスコット。

 そしてその約1時間後には、前述のフェル氏のフェイスブック投稿を引用して、「ゲイプライドとストレートプライドを同等と見る人の数の多さにがっかりしている。違いが分からない人はこれを見てくれ。怒り(通常は自分が理解できないことに対する恐怖の裏返し)を抱く前に、人の立場に立つことを学んで成長してほしい」と、ツイッター民にお願いした。

 法律的には、アメリカ国民の表現の自由や平和的集会を行なう権利を保障する米合衆国憲法修正第1案に該当するため、ボストン市が同イベントの開催を許可しないことは違憲とされるが、世論を受けて市がどんな決断を下すかに注目が集まっている。

 「ストレート・パレード」の候補日は8月31日となるという説が濃厚となっている。(フロントロウ編集部)

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