6月のプライド月間が終わりに近づいた今週、ウィリアム王子が英ロイヤルファミリーのメンバーとしては初めて、ロンドン市内にあるLGBTQ+の若者を支援するチャリティ団体アルバート・ケニー・トラストの施設を単独訪問した。
同性愛やクィア(※)であることを理由に家族と疎遠になり、住むところを失った若者たちをサポートしている同団体の主催者や支援を受けているLGBTQ+の若者たちと会談したウィリアム王子に、ある参加者が「もしも将来、我が子に“僕はゲイなんだ”、“私はレズビアンなの”といった風に打ち明けられたら、どうしますか?」と直球な質問を投げかける場面があった。
※使う人によって意味が変わるが、現代においては「異性愛者」や「心と体の性が一致している人」以外の人のことを意味することが多い
これに対し、ウィリアム王子は、戸惑う様子も見せず、穏やかにこう回答。
「僕自身、最近、ちょうど、そのことについて考えていたところなんです。ほかのご両親たちにも同様の質問をされる機会があったものですから。親になってみるまでは、誰しも、そういったことは、考えもしないことだと思いますが…僕にとっては(もしも我が子に同性愛者だと告白されても)まったくもって問題ではありません」
しかし、ウィリアム王子は、同時に、ロイヤルファミリーとして世界中の注目を浴びる存在である自身の子供たちが、普通の子供たちとは少し違う役割を担っているという点では、世間の一部で発生するであろう誹謗中傷に苦しめられないかと心配していると正直に告白。その対策として今から講じていることについても明かした。
「僕が心配なのは、もし、自身の子供たちが同性愛を告白したとしたら、それが世間にどう解釈され理解されるかということです。
我が子が同性愛者だということが不安なのではなく、人々がその事実をどんな風に受け取り、リアクションをするか、子供たちが世間のプレッシャーに苦しめられないか不安なのです」
特別な立場にあるが故のプレッシャーへの対応の仕方については、ウィリアム王子は妻キャサリン妃とともに、すでに長男ジョージ王子、長女シャーロット王女への教育を始めているという。
「僕と妻は、子供たちに、自分たちが特異な立場にあるという事についてしっかりと理解し、心の準備ができるよう、よく話して聞かせています。僕は何事においても、コミュニケーションが非常に重要だと思っています。誰かが何かを理解するのを手助けするには、それについてたくさん話し合うことが大切です。そして、どんな風にお互いを支え合うか、どうやってその過程を歩むのかという点についても話し合うべきなのだと思います」
子を持つ親ならば、一度は頭をよぎったことがあるものの、なかなか他人とは議論しにくい疑問に、LGBTQ+への理解やサポートを示しつつ、丁寧に自分の考えを明かしたウィリアム王子。
さらに、ロイヤルファミリーとしての宿命を背負って生まれてきた我が子たちが、将来、自分の置かれた立場や世間からの絶え間ない注目に戸惑うことがないよう、幼い頃から配慮しているという子育ての工夫にも多くの人々が感じ入っている。(フロントロウ編集部)