Photo:スプラッシュ/アフロ、ニュースコム、YouTube/Once Upon a Time in Hollywood
クエンティン・タランティーノ監督による話題の新作映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』に登場する故ブルース・リーの描かれ方に娘のシャノン・リーが苦言を呈した。(フロントロウ編集部)

ブルース・リーの描写に批判

 レオナルド・ディカプリオとブラッド・ピットら豪華キャストが出演する映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』は、1969年のハリウッドが舞台の映画。

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 レオナルド演じるピークを過ぎたテレビ俳優のリック・ダルトンとブラッド演じるスタントマンのクリフ・ブースをメインキャラクターに、当時のハリウッドとエンターテイメント業界の明暗を描いた物語で、マーゴット・ロビーが大女優シャロン・テートを演じたように、60年代を代表する実在の俳優がオマージュされている。

 そのなかで、今なお世界中に熱狂的なファンが多数いる故ブルース・リーの姿も描かれた。

画像: YouTube/ONCE UPON A TIME IN HOLLYWOOD

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 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』の予告編でもちょこっとだけ登場したように、マイク・モー演じるブルース・リーは、ブラッド演じるクリフ・ブースと対戦するシーンがある。

 このシーンでのブルース・リーの描かれ方について、元NBA選手のカリーム・アブドゥル・ジャバーほか一部のファンから「敬意に欠ける」と非難の声が寄せられたほか、ブルース・リーの娘であるシャノン・リーもThe Wrapのインタビューで同作におけるブルース・リーの描写に、「映画での描写には背景があることは理解している」としながらも不満をぶつけた。

「(主演の)2人のキャラクターがアンチヒーローで、この作品は想像を極端に表現したファンタジーだということも理解しています…。そして、制作陣が今よりも人種差別が色濃く(白人以外が)排除されていた時代を描いているということもわかっている」「ブラッド・ピットが演じたキャラクターをブルース・リーも倒せるイケてる者にしたい気持ちも理解できますが、彼が生きていた白人主義のハリウッド時代に受けた(差別的な)扱いまで描かなくてもよかった」

 劇中でブルース・リーがどんなキャラクターとして描かれたのかは、ネタバレになってしまうのでここでは言えないが、シャノンは映画で父親が「問題だらけの傲慢なクソ野郎」のようだったいい、劇中で描かれたブルース・リーは「多くの人々が普通に手に入れられたことに3倍努力しなければいけなかった人ではなかった」と、差別がはびこる業界で人一倍努力していた実際の姿とはかけ離れた人物像として描かれてしまったと語った。

 こうした現実とのギャップから、「映画館で父を笑う声を聞くのは非常に不快でした」と不満をあらわにした。

画像: CONCORD/WB / Album/Newscom

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 また、ブルース・リーの同志であり弟子であるダン・イノサントも、「僕の意見では、彼は決して生意気ではなかった。武術において彼は気取っていたかもしれないが、それは彼が自信を持っていたからだ。彼は人より先の世界を見ていた。しかし現場でそれを見せることはなかった」と、実際のブルース・リーの性格について口にした。

タランティーノ監督が反論

 こうした批判が寄せられたことを受けて、タランティーノ監督がPRイベントでコメント。

画像1: タランティーノ監督が反論

「ブルース・リーは、ある意味で傲慢な男だった。彼の喋り方とか…。僕が勝手に作り出したわけじゃないし、僕は彼がそのようなことを言っているのを聞いたことがある」

 タランティーノ監督は映画『キル・ビル』でユマ・サーマンが演じた主人公ザ・ブライドでブルース・リーをオマージュした衣装などを起用するなど、彼の存在がタランティーノ監督の映画に大きな影響を与えたことは確か。

画像2: タランティーノ監督が反論

 それでも、タランティーノ監督の視点にはブルース・リーの「傲慢」な部分が見えたため、その部分を劇中に引用したと語った。

 何度もブルース・リーをオマージュするタランティーノ監督について、シャノンは、「タランティーノ監督が、カンフーや父がやったようなスタイリッシュに敵をやっつける技のファンだったかと言われると疑わしいわ」と米Varietyに話し、続けて、「でも彼がブルース・リーのことを人間としてよく知っていたとしても、ブルース・リーのことに興味を持っていたとしても、ブルース・リーのことを人間として尊敬していたとしても、私はそれを裏づける証拠があるとは思えない」と、断固としてタランティーノ監督を認めない姿勢を見せた。(フロントロウ編集部)

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