過激すぎる風刺のせい?
『サウスパーク』は、過激な風刺が人気のアニメ。コロラド州の小さな町、サウスパークを舞台に、4人の男の子たちが騒ぎを起こしたり巻き込まれたりするストーリーの中に盛り込まれたブラックジョークや、他作品のパロディが特徴。
そんな『サウスパーク』が10月2日に配信した最新エピソードであるシーズン23の第2話が、世界中で論争となっている。
エピソードのタイトルは「バンド・イン・チャイナ(Band in China)」。本編では、登場キャラクターが麻薬ビジネス拡大のため中国へ行くのだけれども、キャリーバッグの中いっぱいに大麻が詰まっていたため、空港で拘束されて監獄に入れられてしまう。そして監獄の中では、プーさんにそっくりのキャラクターと出会うことに…。『サウスパーク』のブラックジョークたっぷりな表現が、いつも以上に踏み込んだエピソードとなっている。
監獄に入れられてしまうまでにも、マーベルヒーローにそっくりの人がいたり、ディズニーキャラクターそっくりの動物がいたりと、パクりキャラクターを登場させて、まるで中国のコピー商法を揶揄するような表現が登場。『サウスパーク』ならではの挑発的な内容となっているが、その中でも、中国当局を怒らせる要因になったのは、監獄で出会ったプーさんにそっくりすぎるキャラクターだといわれている。
実はプーさんは、中国検閲当局ににらまれ続けてきた存在。なぜかというと、中国の国家主席である習近平に似ていると、ネットミーム(※)になってしまったことがあるから。中国は、国の指導者と世界から愛される黄色いクマのぬいぐるみが似ているというジョークを許容せず、プーさんの名前や投稿などを規制している。
※ネット上で流行するコンテンツのこと。
中国はネットの検閲がとても厳しく、「金盾」とも呼ばれるほど強固なシステムなので、人気アニメの『サウスパーク』とは言え、例外なく簡単に規制されてしまう。
中国語で『南方公園』とされる『サウスパーク』は現在、中国大手動画サイト「bilibili」での検索はできず、中国最大のソーシャルメディア「微博」でもワード検索ができなくなっている。中国最大の検索サイト「百度」でも最新エピソードを見つけることはできない。
製作者が謝罪文を発表?
この中国側の対応に対し、『サウスパーク』公式ツイッターでは謝罪文を掲載。
「私たちはNBA(※)のように、中国の検閲者さんたちを我々の国や心に歓迎します。私たちは自由と民主主義よりもお金を愛しています。周さんはくまのプーさんにはちっとも似ていませんよ。次の水曜の10日に放送される第300回目のエピソードをお楽しみに。中国共産党万歳。秋の実りも豊作であることをお祈りします。中国さん、これでいいかな?」
※2019年10月に米プロバスケットボール協会NBAのチームであるヒューストン・ロケッツのゼネラル・マネジャーが香港のデモを支持したことで、中国から批判が殺到して即謝罪した。
Watch the full episode - https://t.co/oktKSJdI9i@THR article - https://t.co/nXrtmnwCJB pic.twitter.com/Xj5a1yE2eL
— South Park (@SouthPark) October 7, 2019
謝罪と思いきや、思いっきり煽るような返しをした『サウスパーク』。第300回目エピソードで、一体何が起こるのか?要チェック。(フロントロウ編集部)