『ジョーカー』児童虐待者による音楽がBGM
10月4日に世界各国で公開され、大ヒットを記録している映画『ジョーカー』。
劇中では数々の有名音楽が効果的に使用されており、作品の迫力を引き立てている。しかし物語の重要なシーンで、イギリス人シンガーのゲイリー・グリッターによる「ロックン・ロール・パート2」が使用されていることは議論になっていた。
なぜなら、ゲイリーは未成年者に対する性犯罪歴が多くあり、現在は刑務所に収監されているから。ゲイリーの音楽が今作に使用されている点(※リンク先には映画のネタバレが含まれます)に加え、映画での音楽をはじめ、映画のDVDやサウンドトラックの発売により、多くの印税が犯罪者であるゲイリーに渡るのではないかと批判されていた。
しかしこのたび、各音楽レーベルが声明を発表した。
1997年からゲイリーの楽曲のマスター・ライツを所持する英Snapper Musicは、米Timesに「彼に(印税を受け取る)権利はありませんし、私たちも、いかなる印税も払っていません」と明言。
ゲイリーの楽曲の著作権を持つ米Universal Music Publishing Groupも米The Los Angeles Timesに、「私たちは彼にいかなる印税や利益も払っていません」と発表した。
しかし、ゲイリーには他のところからお金が入っている可能性も指摘されている。
インターネットラジオでの印税
映画の大ヒットにより、各音楽ストリーミングサービスで「ロックン・ロール・パート2」の再生回数は大幅に増加。北米での音楽の売り上げや再生回数等を調査する企業Nielsen Musicによると、『ジョーカー』の公開後に、同楽曲のストリーミング回数は約13万回から150万回以上に上昇したそう。
そのなかでも、non-interactive streamsと呼ばれる音楽のストリーミング方法で「ロックン・ロール・パート2」が聴かれた場合、ゲイリーに印税が渡る可能性がある。
non-interactive streamsは、再生する音楽が自分では選べず、音楽のチャンネルだけを選ぶストリーミング方法。インターネットラジオと呼ばれることもあるこの方法では、各音楽の権利をマネージメントする組織SoundExchangeに一旦印税が払われ、その後、SoundExchangeが各シンガーやレーベルに配当金を支払う形式が取られている。
もしゲイリーがSoundExchangeに登録していれば、彼の元にも印税が支払われる。米Billboardによると、SoundExchangeのホームページ上で検索できる登録“していない”シンガーリストには、ゲイリーの名やゲイリーの本名はなかったという。
『ジョーカー』の配給会社であるワーナー・ブラザースは、「ロックン・ロール・パート2」をサウンドトラックから外す予定はないとしている。
(フロントロウ編集部)