※この記事は映画『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』のネタバレを含むのでご注意ください。
号泣必死の「ラスト数分」は映画オリジナル
大ヒット公開中の映画『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』で監督を務めるアンディ・ムスキエティと、監督の姉であり製作のバルバラ・ムスキエティにフロントロウ編集部がインタビュー。
感動的な結末で「ホラーなのに泣ける」と話題の本作だが、じつはスティーヴン・キングが書いた原作ではもっと悲惨な結末を迎える。なぜ原作と結末を変えたのか?あえてそうしなかった理由を監督のアンディに直接たずねてみた。
「原作では、みんなお互いのことを忘れていってしまうんだ。ちょっと悲しいよね。それがスティーヴンの望む結末だったんだからしょうがないけど、何もかも一緒である必要はないから、イットも退治したんだし、『この映画ではみんなお互いのことを“忘れない”っていうのはどうかな』ってことになったんだ。生きていると忘れたいことよりも、覚えておきたいことのほうが多いだろう?見た人に希望が残る、よりハッピーなエンディングにしたかった。この先一生彼らの絆が消えることはない。たとえみんな別々の場所にいたとしてもね」-アンディ
あれほど強い絆で結ばれたルーザーズ・クラブの面々が、すべて終わったあとにお互いのことを忘れてしまうなんて「悲しすぎる」という、ファン目線に近い思いから、本作では見た人が最後に“ほっこり”する結末に変えたことが明らかに。
さらに、ペニーワイズとの戦いが終わったあとに、みんなのもとに届いたスタンリーからの手紙によって、悲しくも心温まる事実が明らかになった衝撃と感動のラスト数分について聞くと、こんな答えが返ってきた。
「スタンリーがみんなに宛てた手紙に関しては、スタンリーの死に意味を与えたかったんだ。みんなはどうかわからないけど、僕はスタンリーというキャラクターが好きだったから、良いかたちで終わらせてあげたかったんだ。自殺をすることを選んだ『理由』をはっきりさせたかった。ショッキングなシーンだったけど、(手紙の内容を聞けば)みんなも納得できるんじゃないかって」-アンディ
アンディの言う通り、あの手紙によってスタンリーの死が意味のあるものになったことはたしか。感動を呼んだ『IT/イット』完結編の完全オリジナルの結末は、この作品と登場人物に対する監督の深い愛情によって生まれたものだった。(フロントロウ編集部)