ベラ・ハディッドが、日頃から罪悪感を感じている「ある行動」の埋め合わせとして、「600本の木」の植樹に相当する寄付を行なったことを報告した。(フロントロウ編集部)

罪悪感を感じる行動

 ファッション界を牽引するトップモデルの1人として、ベラ・ハディッドは2019年も忙しく世界中を飛び回った。

 1カ月間に10回以上も飛行機による移動を行なうことがあるというベラだが、職業柄仕方がないともいえるこの行動に、じつは、大きな罪悪感を感じているよう。

画像1: 罪悪感を感じる行動

 というのも、近年、航空旅行が気候変動に与える影響には世界中で注目が高まっており、議論の的に。

 二酸化炭素(CO2)を含む温室効果ガスの地球全体の排出量のおよそ2%は航空産業によるものだと言われており(※1)、その排出量は、2020年までに2005年時よりも70%も増加すると予測されている(※2)。

※1 航空輸送アクショングループ(ATAG)による発表。 ※2 国際民間航空機関(ICAO)による予測。

画像2: 罪悪感を感じる行動

セレブの移動手段に視線が集まる

 そんななか、普通の一般人と比べて、各段と飛行機を利用する機会が多いセレブや著名人たちの動向には、厳しい視線が向けられている。

 2018年11月には、ラッパーのカニエ・ウェストが、大量のCO2を排出することが問題視されている大型旅客機を貸し切りで利用して非難を浴びたほか、2019年夏には、Google社が著名人を招待して開催した環境問題について話し合うサミット『Google Camp(グーグル・キャンプ)』に、民間機の7倍ものCO2を排出すると言われるプライベートジェットを何機も利用して乗りつけ、大量の温室効果ガスをまき散らしたとして本末転倒だと世間を呆れさせた

画像: イタリア・シチリア島で開催されたGoogle Campの会場付近の空港に乗りつけられたプライベートジェット機。

イタリア・シチリア島で開催されたGoogle Campの会場付近の空港に乗りつけられたプライベートジェット機。

 さらに、イギリス王室のヘンリー王子&メーガン妃夫妻は、環境保全に情熱を注ぐアクティヴィストの身でありながら、8月の2週間のうちに4回もプライベートジェットを使用したことで非難の的に。ヘンリー王子が「人生において99%の場合は、私は民間機を利用しています。しかし、場合によっては、特異な状況下において、家族の安全を確保する必要があります」と自らのプライベートジェット使用に関して弁明する事態にまで発展した。

画像: ヘンリー王子はメーガン妃と設立したサセックス・ロイヤル基金の初のプロジェクトとして、環境に配慮したサスティナブルな旅行を推進する『トラバリスト(Travalyst)』の発足を発表している。

ヘンリー王子はメーガン妃と設立したサセックス・ロイヤル基金の初のプロジェクトとして、環境に配慮したサスティナブルな旅行を推進する『トラバリスト(Travalyst)』の発足を発表している。


各地で頻発する森林火災は気候変動の影響

 2019年は、アマゾンの森林火災が急増したほか、多くのセレブたちが暮らす米カリフォルニア州でも大規模な山火事が頻発。

 これらの森林火災は、地球温暖化による気温の上昇や気候の変化によるものが大きいと言われており、その地球温暖化を引き起こす原因とされている温室効果ガスの大部分を占めるのが、ほかでもないCO2。

 自動車や船といった別の移動手段を使った場合も然り、飛行機での旅も、間接的ながら、これらの自然災害に少なからず加担しまっていると考えられる。

画像: 11月25日にカリフォルニア州サンタバーバラで発生した山火事の消火活動にあたる消防車。26日の時点で4200エーカー(約17平方キロメートル)を超える面積に延焼した。

11月25日にカリフォルニア州サンタバーバラで発生した山火事の消火活動にあたる消防車。26日の時点で4200エーカー(約17平方キロメートル)を超える面積に延焼した。

 自身もカリフォルニア出身で、身近な場所で起きている森林火災を他人事とは思えず、胸を痛めたベラは、どうしてもCO2排出量が多い飛行機を使いがちなことへの“埋め合わせ”をするために、植樹活動への寄付を決意したという。

画像1: 各地で頻発する森林火災は気候変動の影響

 インスタグラムで「ワン・ツリー・プランテッド(OneTreePlanted)」という非営利団体を通じて寄付を行なったことを報告したベラは、こんな長文メッセージで、ぜひ、多くの人にも、いま一度、環境問題やエコな旅について考えを巡らせてほしいと呼びかけた。

「植樹のために600本の木を寄付しました。私が過去3カ月間に利用したフライト1回につき20本です。今年いっぱい続けるつもりです。職業柄、自分のカーボン・フットプリント(CO2排出量)が多くなってしまうこと、そして気候変動がいかに地球に残酷な影響をもたらしているかということを考えると悲しい気持ちです。

母なる自然は愛を必要としています。まずは、森林火災により130万エーカーが焼失し、1億2900万本の植樹を必要としている、私の故郷カリフォルニア州から始めます。もちろん、最近、森林火災が発生したアマゾンも。でも、もし、ほかにも助けを必要としている地域をご存知の方は、ぜひ、私に知らせてください。アフリカ、アジア、北米、南米、どんな地域でも構いません。

私にとってこの試みはとてもワクワクするし興味深いものです。だって、自分が実際にはその場所にいなくても、植樹を必要としている素晴らしい地域に木々の新たな息吹がもたらされるんですから。木は、私たちが呼吸する空気、飲む水、そして生物の多様性、動物たちの命に関係しています。そんなに大したことはできないけど、飛行機の窓から地上を見下ろすときに見える雄大な森林は、ただ美しいだけでなく、助けを必要としているようにも見えます。そこに暮らす動物たちのことも考えてみてください。

 家に帰ったら、自分の庭にも木を植えてみようと思います。友人たちにすごく感銘を受けました。ちなみに、私が調べたところ、onetreeplanted.orgという組織のウェブサイトが一番わかりやすくて、一度にさまざまな地域への寄付ができるのでオススメです。興味があればチェックしてみてください。

 ベラが行なったこの行動は、「カーボン・オフセット」の一種。「カーボン・オフセット」とは、人間の経済活動や日常生活を通して“ある場所”で排出された二酸化炭素などの温室効果ガスを、植林・森林保護・クリーンエネルギー事業(排出権購入)などによる削減活動によって“他の場所”で直接的、間接的に吸収しようとする考え方や活動の総称で、近年、世界各国の航空会社や旅行会社も率先してこの取り組みを導入している。

画像2: 各地で頻発する森林火災は気候変動の影響

 航空券が年々手頃になり、より多くの人が海外へと旅をするようになった今、世界では1日あたり約10万便の商用フライトが飛んでいるという。この数字は、今後20年で約2倍になると予想されており、だからこそ、ベラのように、1人1人の乗客がエコな旅とは何かを考え、カーボン・オフセットに取り組む必要がある。(フロントロウ編集部)

This article is a sponsored article by
''.