恐ろしいホテルの本来の姿は意外にも…
スタンリー・キューブリックによって撮られた1980年の映画『シャイニング』は、ジャック・ニコルソンが主演のホラー映画で、ベストセラー作家のスティーヴン・キングの同名小説を映画化したもの。
舞台は、コロラド州のロッキー山上にある架空のホテル「オーバールック・ホテル」。物語は、主人公のジャックが家族と共に雪深い冬場の管理人としてやってくるところから始まる。
恐ろしいことが次々と起こるこのホテルだけれど、実はすべてセットだということをご存じだろうか。
制作過程を見ると、その外観がなんと「ハリボテ」だったという衝撃の事実がわかる。ちなみに建物内もまた別のセットで作られ、撮影が行われた。
外観のモデルになったのは、アメリカのオレゴン州にあるフット山に建てられ、標高1,829mの深い森の中に位置している「ティンバーライン・ロッジ」。1937年に完成したこのロッジは、非常に重厚で歴史的な価値も高く、なんとあのルーズベルト大統領もテラスからスピーチした。
ちなみにこのロッジは現在でも宿泊することができ、1泊の値段は約1万5千円~2万円程度。建物から直接スキーに出られるので、スキーを楽しみたい人にはもってこいの施設。
雰囲気は映画とは全く違っていて、州の中のランドマーク的な存在。
そして内観のモデルになったのは、カリフォルニア州中央部のヨセミテ国立公園内に位置しているマジェスティック・ヨセミテ・ホテル。(以前はアワニー・ホテルという名称だったが2016年改称)このホテル、なんと米Appleのスティーブ・ジョブスも結婚式を挙げるほどの素晴らしいホテルで、アメリカ人なら1度は泊まってみたい憧れのホテル。
ちなみに、ジョン・F・ケネディやイギリス女王のエリザベス2世、ウィンストン・チャーチルなどもこの施設に宿泊したというから驚き。1泊の価格は約4~7万円ほど。とても格調高いホテルなので、映画のようにボールで遊んだりしてはいけない。
ヨセミテ渓谷の中でも最も美しい景色の場所に1927年に建てられたこの場所からはヨセミテでも最も象徴的な「ハーフドーム」と呼ばれる岩山や滝を一望できる。
映画の中では、フロントやロビーのあたりを参考にして、イギリスでセットが組まれたそうで、映画の中に登場する迷路やトイレ、お風呂などはこれもまた別に映画用に組まれたセット。
ちなみに、映画『ドクター・スリープ』で登場するホテルは、アトランタにあるブラックホール・スタジオの4つの防音スタジオに設置された約8000平方メートル以上におよぶセット。監督マイク・フラナガンの熱い「シャイニング愛」がわかる。
『シャイニング』の続編映画『ドクター・スリープ』は2019年11月29日より全国ロードショー。(フロントロウ編集部)