アメリカで最も伝統ある辞書出版社として知られるメリアム・ウェブスターが、2019年を代表する言葉を発表した。(フロントロウ編集部)

今年の言葉「They」の新しい意味

 やや上級者向けの英英辞書で有名なウェブスター辞書を出版する老舗出版社のメリアム・ウェブスターが、ワード・オブ・ザ・イヤーとして2019年を代表する“単語”を発表。

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 今年の言葉に選ばれたのは、日本人にも馴染みのある基本的な英単語「They」

 「彼ら/それら」などの三人称複数として一般的に認知される「They」という単語は、ウェブスター辞書において2018年より検索率が313%も高くなった。

 その理由は「They」に、「性的指向が“ノンバイナリー”である人に対して使われる」という意味がつけ加えられたから。

 ウェブスター辞書にある「They」には、すでに「ジェンダーをあえて明かさない人に対して使われる」という定義があったが、2019年9月に「ノンバイナリー」の人への三人称として新たに定義された。

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 ここ数年でLGBTQ+への理解がますます深まるにつれ、従来のジェンダーのあり方に捉われない、様々なかたちが生まれている。ちなみにジェンダーとは、生物学上の性(セックス)に対して、社会的・文化的に存在する“男性・女性”という性(ジェンダー)のこと。

 それを代表するのが「ノンバイナリー」と呼ばれる、男性や女性どちらにも分類・限定されないジェンダーのこと。男性と女性の両方を感じる/そのどちらでもない/トランスジェンダーの中間など、ノンバイナリーの表現は様々で、第3のジェンダーと呼ばれることもある。

 今年は、同性愛者であることを公言していたシンガーのサム・スミスや『クィア・アイ』のジョナサン・ヴァン・ネス、『ユニークライフ』のブリジット・ランディ・ペインといったセレブが、ノンバイナリーであることをカミングアウトした。

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 また英語圏では、ジェネレーションZの若者の多くは、They/Themのようなジェンダーに縛られない中性代名詞に馴染みがあり、例えば男性に「She」と使うなど、She/Heという言葉を相手の性別に左右されずに使う傾向がでてきている。

 これまでは「彼ら」という使い方以外に、生まれる前の赤ちゃんなど、性別がわからないときに使われていた「They/Them」という言葉。時代の変化に合わせて新たな意味が追加され、このたび、メリアム・ウェブスターのワード・オブ・ザ・イヤーとなった。(フロントロウ編集部)

※ノンバイナリーの表現をより適切に修正しました。

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