映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』で衣装を担当した衣装デザイナーのアリアンヌ・フィリップスは、クエンティン・タランティーノ作品における現場の雰囲気を語った。(フロントロウ編集部)

『ワンハリ』の衣装はほぼオリジナル!

 衣装デザイナーのアリアンヌ・フィリップスは映画『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』や『シングルマン』など、さまざま映画の衣装を手掛けてきた。

画像: 『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』より ©NEW LINE CINEMA / GIRAUD, SOPHIE / Album/Newscom

『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』より ©NEW LINE CINEMA / GIRAUD, SOPHIE / Album/Newscom

 そんな彼女は映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』で初めてクエンティン・タランティーノと共に仕事をし、その撮影現場での秘話を米Varietyに明かした。

 アリアンヌは本作の舞台となる1969年のファッションを忠実に再現するため、さまざまな古着屋や衣装屋に赴いて数百人におよぶエキストラの衣装を集めると同時に、古着からインスピレーションを受けてメインキャストたちの衣装を1から作り上げたそう。

画像1: ©Sony Pictures Entertainment/Heyday Films/Visiona Romantica / Album/Newscom

©Sony Pictures Entertainment/Heyday Films/Visiona Romantica / Album/Newscom

 けれど、ブラット・ピット演じるクリフ・ブースの身に着けているデニムブランド、ラングラーのビンテージジャケットは再現不可能だったため、“本物の”ラングラーのジャケットを着ている。

画像2: ©Sony Pictures Entertainment/Heyday Films/Visiona Romantica / Album/Newscom

©Sony Pictures Entertainment/Heyday Films/Visiona Romantica / Album/Newscom

1960年代を忠実に再現!でもアレだけは主義撤回

 アリアンヌが嬉しかったのは、なんといってもタランティーノ監督が持つオープンな視野。監督はアリアンヌに「脚本に(クリフが着ている)アロハシャツのことを書いたんだけど、“どんなアロハか”とか、“どんな色か”とかは書かなかったんだ。だから、もし良いアイデアがあったら持ってきてよ」と気軽に問いかけたそう。

画像3: ©Sony Pictures Entertainment/Heyday Films/Visiona Romantica / Album/Newscom

©Sony Pictures Entertainment/Heyday Films/Visiona Romantica / Album/Newscom

 タランティーノ監督は、映画の細部までこだわりぬいていて、まるで伝記映画のように1960年代の様子を忠実に再現し、道の端に貼ってあるポスターの1つにまで気を配っていたそう。

 けれど、マーゴット・ロビー演じるシャロン・テートが映画館に行くシーンで履いている白―ブーツに関しては違った。

画像4: ©Sony Pictures Entertainment/Heyday Films/Visiona Romantica / Album/Newscom

©Sony Pictures Entertainment/Heyday Films/Visiona Romantica / Album/Newscom

 アリアンヌは、1969年にシャロンが白いブーツを履くとは思えなかったが、タランティーノはその白いブーツをいたく気に入ってしまい、履かせることになったのがあのシーン。

アリアンヌを驚かせた、タランティーノ監督のお決まりのかけ声

 「タランティーノ監督は、自分が好きなことと嫌いなことを明確に分かっている」と話すアリアンヌが現場で一番驚いたことは、タランティーノが100テイクごとにカクテルを飲み、振り返って「なぜもう一度撮り直さなくちゃならない?」とスタッフに聞くこと。

 タランティーノ監督が「それは~~~!?」と聞くと、スタッフみんなが「それは映画を作るのが好きだから!」と叫ぶのだそう。この逸話は以前から語り継がれてきたけど、今でも健在らしい。

 そんな映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』は、先日発表された第77回ゴールデン・グローブ賞に5部門でノミネートされた。コメディ/ミュージカル部門で映画『ロケットマン』や『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』などとトロフィーを競うことになった本作の運命やいかに(フロントロウ編集部)

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