ペットは買う時代から引き取る時代へ
ペットはペットショップやブリーダーから“買う”のではなく、シェルターや施設から“引き取る”という考えが、アメリカではどんどん主流になってきている。そのおかげもあり、犬・猫の年間の殺処分件数は約260万件(2011年)から約150万件(2018年)まで減少している。
ハリウッドセレブは“引き取る”のが当たり前
とくに、言動に影響力があるため、“社会のお手本”としての行動が求められるセレブ界ではもはや当たり前で、逆にブリーダーやペットショップからペットを飼うことに対する風当たりは強い。
例えば2019年には、シンガーのジャスティン・ビーバーが400万円近く出してブリーダーからサバンナキャットの血をひく猫を2匹買ったことで、動物愛護団体PETAに「危険な交配種への需要を助長したり、ペットの過剰増加に加担する代わりに、(その知名度を活用して)世界中のファンたちに地域の動物保護施設からペットを引き取るように呼びかけることができるはずです」と批判されて騒動となった。
10頭に1頭の犬が“返却”される
シェルターから引き取るという選択をする人が増えているなかで、新たな問題も生まれている。
アメリカではアニマルシェルターに預けられる犬のうちおおよそ20%が、シェルターから引き取られた犬。10匹に1匹が6ヵ月以内に“返却”されると、米Orvisは発表している。
返却の原因はさまざまだけれど、引き取った犬を再び手放す人に多い共通点としてOrvisが指摘するのが、犬を飼うことに対して柔軟な考えを持たずに過剰な期待をしているということ。
犬を飼うときは、想定外の医療費を払えるか、家族は犬アレルギーではないか、散歩は毎日できるかなど、先にわかること以外に、人間の指示をきかない、無駄吠えが多い、食糞をするなど、付き合ってみないと分からないトラブルも発生し得る。個体差があるため、理想は設けないで家族として受け入れて気長に付き合う覚悟が求められる。
ここ日本での犬・猫の殺処分件数は、年間約17.5万(2011年)から約4万(2017年)へと大幅に減少した。しかし依然として毎年数万匹もの犬の命が奪われており、飼い主を必要としている犬はたくさんいる。ペットを飼うときの責任を理解して、十分考えたうえでペットが欲しいと思った場合は、日本ならば地域の動物愛護センターや行政機関に問い合わせるか、インターネットで検索してみてほしい。(フロントロウ編集部)