ドリー・パートンとは
ドリー・パートンは、第二次世界大戦が終戦した翌年1946年に、カントリーミュージックが誕生したとされるテネシー州に誕生。
2019年で74歳になったドリーは、21歳のときにアルバム『Hello, I'm Dolly』でカントリーシンガーとしてデビューして以来、現在までに46枚のソロアルバムをリリース。9つのグラミー賞を持つ、音楽界のレジェンドとして知られる。
女性は家にいるのが当然だった時代に生まれ、社会の中で女性の立場や役割が変わっていく様子を体感してきたドリーは、つねに女性の視点で世界中にそれを歌い、女性をエンパワーしてきた。
ドリー・パートンの代表曲おすすめ5選
9時から5時まで(9 to 5)
働く女性のアンセム
ドリー主演の1980年の映画『9時から5時まで』テーマソング。男性優位な社会で成功しようとする女性の気持ちが皮肉と野心を交えて歌われていて、全米で女性の社会進出が拡大していた1980年代に、働く女性のアンセムとして大ヒットした。
「9時から5時まで、サービスして尽くして/正当な昇進をするべきだと思うでしょ/もっと高みを目指したいの/でも上司がそうさせてくれない/あいつったら、私をやっつけようと躍起になってるんじゃないかってたまに思う」
ジョリーン(Jolene)
女から女へ、悲痛な訴え
好きな男性の注意をひく女性に対して、恨みを歌うのではなく、お願いだから私に譲ってと訴える曲。カントリー・チャートで1位となり、ビルボード・ホット100にもランクイン。イギリスでも大ヒットし、これがドリー初のイギリスでの成功といわれている。
「ジョリーン、お願いだから、あの人を面白半分に誘ったりしないで/別にあの人でなくたって望めばいくらでも相手はいるでしょ/だけど私は違うの/一生に一度の恋だったし/彼は私のたった一人の人なのよ」
ジャスト・ビコーズ・アイム・ア・ウーマン(Just Because I'm a Woman)
ダブルスタンダードを歌った曲
同じように恋愛経験があっても、自分が女だからと言って“傷物”のように批判するのはやめて、と歌うこの曲。「男の野心は自信の表れだけれど、女の野心は性格のキツさの表れ」のように、対象によって対応が変わる「ダブルスタンダード(二重基準)」は現代でこそ話題になっているけれど、1960年代にこれが歌えたドリーはやはりかっこいい。
「良い子を捕まえて その子の評判を落とすようなことをする男の人がいる/でも結婚となると話は別/彼に捨てられた彼女は必死になるしかない/一方で彼は結婚指輪をはめる天使を探すの」
ダム・ブロンド(Dumb Blonde)
「バカなブロンド女」というステレオタイプを歌に
欧米には、ブロンド女性は頭が悪いというステレオタイプがあり、英語ではこれを「Dumb Blonde(バカなブロンド女)」と呼ぶ。ブロンドヘアのドリーは自身に対するこのネガティブなステレオタイプを逆手に取り、1967年に「ダム・ブロンド」で、初のヒットを獲得!
「あなたが去ったとき、あなたは私が大人しく座ると思った/あなたは私が待つと思った/私が泣くと思った/あなたは 私をバカなブロンド女と呼んだ」
愛のほほえみ(Here You Come Again)
恋で盲目になってしまった女心を歌った曲
相手の魅力に心奪われて、つかれた嘘も、別れた理由も忘れてしまう女性の気持ちを、どこか嬉しそうに歌う「愛のほほえみ」。カントリー歌手として注目を集めていたドリーがポップス部門にもランクインするようになるきっかけになった曲であり、彼女のキャリアには欠かせない一曲。
「また来たわね/やっと乗り越えたと思ったところにちょうど/あなたは陽気にドアから入ってくるの/この前もそうだったように/私の心を意のままに操るの」
Netflix映画『ダンプリン』はドリー・パートン入門コース
ドリー・パートンのヒット曲をもっと知りたい!という人は、楽曲やMVをチェックするほか、Netflix映画『ダンプリン』を見るのもおすすめ。
美少女コンテストを題材にしたティーン映画である『ダンプリン』は、ダンプリン(ダニエル・マクドナルド)と呼ばれる主人公がドリーの大ファンという設定。劇中を通してドリーの曲が使われており、使用されている12曲中6曲をドリーがこの映画のために書きおろし、「ジョリーン」をはじめ6曲の代表曲をシーアといった人気歌姫とコラボしてレコーディングし直した。
自分に自信を持つという映画のポジティブなメッセージがドリーの楽曲にリンクし、主人公の熱狂ぶりを通してドリーのミュージシャンとしての影響力の大きさが伝わる映画『ダンプリン』は、大人も子供も楽しめ、ドリーの世界を知る始まりとしてはぴったりの1作。
(フロントロウ編集部)