ドイツ発のヴィーガン・コンドーム
動物をサポートするという理由のほか、近年では地球温暖化に対するアクション(※)として、お肉や乳製品を口にしない完全菜食主義がだんだんと支持されるようになり、世界各国ではヴィーガンメニューも数多く展開されるようになっている。
※家畜の放牧のために二酸化炭素を吸収してくれる広範囲な森林が伐採され、家畜が温室効果ガスであるメタンを多く輩出する畜産業は地球温暖化の大きな要因とされており、人間による肉の消費量が減ることは温暖化対策に大きな好影響を与えると国連が発表している。
そんなヴィーガニズムが、コンドーム業界にも新たな波を巻き起こしている。

ドイツのコンドームブランドEinhornは、地球に優しいコンドームで売り上げを伸ばしている。
コンドームは、原料のゴムに動物性タンパク質の1種であるカゼインを加えることによってソフトになっているため、Einhornはカゼインの代わりに自然素材の潤滑油を使用。
また、Einhornは原材料を作り出す農園の環境も重要視している。大規模な天然ゴムの農園は環境破壊を引き起こしやすいため、Einhornはいくつかの小さな農園と取引をしているという。そして、自然環境だけでなく、労働環境も大切。Einhornは農園に、最低賃金よりも15%は高い金額を支払っているという。
Einhornの特徴はそのデザイン。今アートが盛り上がる場所として熱気を帯びるベルリンを拠点とするブランドらしく、コンドームを感じさせないスタイリッシュなデザインを、100%リサイクル可能な紙袋にプリント。コンドームだと分かりやすいパッケージを購入するのは恥ずかしいと感じてしまう人も多いため、まるでお菓子が入っているかのような小袋にコンドームが入れられている。
多くの人がEinhornのコンドームを使用すれば、その考えにかかわらず社会に良い影響が生まれる。共同代表の1人であるフィリップ・ズィーファーは、英BBCにこう語る。
「私たちは顧客がヴィーガンかどうかすら気にしませんよ」
PETAから認証されたヴィーガン・コンドーム
韓国で生まれたコンドームEVEもまた、ヴィーガンなコンドームのひとつ。
コンドームは、その製造過程で動物性たんぱく質が使用されるだけでなく、販売開始前には動物によってテストされている。
しかしEVEは、コンドームには動物実験をしなくても他の様々な方法でその安全性を証明できると考え、動物実験の過程を排除。さらにもちろん、EVEには動物性の成分も含まれてない。
EVEはそのパッケージには、動物に優しいこと、そしてヴィーガン製品であることを、世界的動物愛護団体PETAが認証するマークを得ている。
2026年には、約170億円規模になるとみられているコンドーム市場。その頃には、商品のバラエティもかなりの変化を遂げているかもしれない。(フロントロウ編集部)