シンガーや女優、プロデューサーなど多岐にわたって活躍するジェニファー・ロペスとラテンポップの歌姫シャキーラが、スーパーボウルのハーフタイムショーのパフォーマンスを通じて政治的なメッセージを発信した。(フロントロウ編集部)

「檻に入った子供たち」は“ある問題”を表現

 米現地時間2月2日(日)、フロリダ州マイアミのハードロック・スタジアムで開催されたNFLのチャンピオンシップ、第54回スーパーボウルのハーフタイムショーでダブルヘッドライナーを務めたシャキーラとジェニファー・ロペスが、自身のパフォーマンスに「政治的なメッセージ」を組み込んでいたことが話題になっている。

 ジェニファーと元夫でシンガーのマーク・アンソニーのあいだに誕生した愛娘のエメちゃんがサプライズゲストとしてステージに登場し、ジェニファーのヒット曲「レッツ・ゲット・ラウド(Let's Get Loud)」を熱唱したシーンでのこと。

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 この時、エメちゃんは球体型の檻のようなものの中に入っていたのだが、カメラを引くと、ステージの前にも同様の状態で地面に座る複数の子供たちの姿があった。

 じつは、この演出が一部の人たちのあいだで、昨今、アメリカで社会問題となっている不法移民とその子供たちへの不当な扱いに対する、何らかのメッセージなのではないかと言われている。

 さらにこの演出のあと、自身の両親がプエルトリコ系アメリカ人であることから、プエルトリコの旗を持ってステージに姿を現したジェニファーに向かって、エメちゃんがブルース・スプリングスティーンの名曲「ボーン・イン・ザ・U.S.A.(Born In The U.S.A.)」の一部を歌う場面も。

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 一緒にハーフタイムショーのステージを飾ったシャキーラもコロンビア出身で、ともにラテン系のルーツを持つ2人だけに、とくにヒスパニック系の人たちに深刻な影響を与えているアメリカの移民問題に一石を投じる演出が目立った。

アメリカで深刻化する移民問題

 “不法移民”というと聞こえは悪いが、アメリカは移民により成り立っている多民族国家であり、今から約500年前にコロンブスによって発見されて以降、イギリスやヨーロッパ、南米からの移民によって発展を遂げてきた。そういった背景から、これまでは積極的に移民を受け入れてきたが、政権交代や世界情勢の変化などによって状況が一変。

 移民問題に対して強硬な姿勢を示すドナルド・トランプ米大統領のもと、昨年から不法侵入をした移民を強制送還したり、施設に収容したりするなどの措置が積極的に進められ、次々と明らかになる非人道的な対応の数々に国内外から批判の声が噴出している。

画像: アメリカで深刻化する移民問題

 なかでも問題視されているのが、不法滞在や不法入国で捕まった親子の“引き離し”や、子供たちが収容されている施設の劣悪な環境。米CNNによると、親と子が別々の施設に収容されているため、必然的に子供が子供の面倒を見なければならず、なかには放置されっぱなしの幼児もいるという。また、施設に収容された子供たちは着替えの服も与えられず、オムツを必要とする年齢の子供たちは、排泄物を垂れ流した状態での生活を強いられているという話もある。

 こういった状況を少しでも改善すべく、セレーナ・ゴメスやカーディ・Bなど、影響力のあるセレブがこれまでに何度も声を上げているが、いまだに解決の糸口が見つかっていない。そのほかにも、アメリカで人生の大半を過ごしてきた不法移民の子供たちが、今になって祖国という名の「見ず知らずの国」に強制送還される危機に直面するなど、移民問題をめぐる課題は山積みとなっている。(フロントロウ編集部)

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