シンガーのジャスティン・ビーバーが、自身のドキュメンタリー番組で過去の薬物使用や薬物依存について赤裸々に語った。(フロントロウ編集部)

はじまりは13歳で初体験した大麻

 2月14日のバレンタインデーに待望のニューアルバム『チェンジズ(Changes)』をリリースするジャスティン・ビーバーが、YouTubeで配信されている自身の素顔に迫るドキュメンタリー番組『ジャスティン・ビーバー:シーズンズ(Justin Bieber : Seasons)』の第5話で、過去の薬物使用とそこから脱却するきっかけとなった出来事について振り返った。

 すべてのはじまりは13歳の時に初めて吸った大麻だったという。13歳といえば、YouTubeにアップした動画が現マネージャーのスクーター・ブラウンの目に留まり、トントン拍子でデビューが決まった時期と重なる。13歳という若さで、薬物を使用することによって多幸感が得られることを知ってしまったジャスティンは、売れっ子になればなるほど溜まるストレスとプレッシャーから自分を解放するために、違法・合法に関係なくありとあらゆる薬物に手を出すようになっていった。

 ジャスティンは「(薬物は)僕にとって逃げ道だったんだ。あの頃の僕はまだ若かったからね」と言うと、続けて「何をするにもカメラが前にあって、つねに世間の目に晒されていた」と当時の自分が置かれていた過酷な環境が、自分を誤った方向へと導いたことを明かしている。

画像: はじまりは13歳で初体験した大麻

 さらに、ジャスティンは薬物に手を出してしまった理由について、経済的にも精神的にも安定した家庭環境のなかで育たなかったことが根底にあると推測。
 
 若くしてジャスティンを授かった両親は、彼が生まれてすぐにパートナーとしての関係を解消し、ジャスティンはシングルマザーとなった母親のもとで育てられた。母親はジャスティンに惜しみない愛情を注いでくれたが、母子2人の暮らしは決して裕福とは言えず、ジャスティンいわく、シンガーとして成功を収めるまでは“貧困層”にあたる苦しい生活を送っていた。また、若くして成功を収め、早くに親元を離れて生活するようになったことも、その後の人格形成に大きな影響を与えることに。

 一般的な家庭の子供たちは、成長する過程で両親からきちんとした教育を受け、薬物を使用することによってどのような弊害があるのか自然と学んでいくものだが、そういった十分な環境のもとで育ってこなかったジャスティンには、薬物がなぜいけないのかという分別がなかったという。

 そんなジャスティンの薬物への依存がピークに達したのは19歳の時。以前、インスタグラムに投稿した長文メッセージのなかで、19歳の時に「かなり中毒性の強いヘビーなドラッグにハマった」と告白していたが、この頃のジャスティンはまさにひん死の状態で、毎晩、ボディガードがジャスティンの息があるかどうか、彼の部屋まで確認しに来なければならないほど深刻な状況だったという。

薬物依存からの脱却

 「あの時の僕は死にかけてた。世間の人たちが思っている以上に深刻なものだった。ものすごく危険な状態だったんだ。(このままではダメだと思って)薬を飲むのをやめた。でも、根本的な問題が解決していないから、結局また元の状態に戻っちゃうんだ」

 こう語ったジャスティンは、その後、薬物依存から脱却するべく助けを求めて医療機関をたずね、医師の指導のもと、心身ともに健康になるために最善を尽くしてきた。しかし、それでも解決しない問題がいくつかあったため、検査を続けた結果、2019年の暮れにライム病との診断を受け、さらに重度の伝染性単核球症(※)であることも発覚した。
※EBV(エプスタイン・バール・ウイルス)の初感染によって生じる急性感染症。

 ちなみに、ライム病はマダ二によって媒介される細菌感染症で、病原体が全身に拡散すると、皮膚症状、神経症状、心疾患、眼症状などいろいろな症状が現れることで知られており、ろれつが回らない、理解力が低下する、腕に思うように力が入らないなといった脳卒中に似た症状も報告されている。抗菌薬で治療でき、米国ではワクチンが承認(日本では未承認)されているが、ごくまれに死に至ることもある重篤な疾患。

画像: 薬物依存からの脱却

 現在もまだ治療の過程にあるジャスティンだが、自身が抱える問題のすべてがようやく明らかになったことで、“治る”という希望がわき、かなり前向きな状態だという。また、2018年にジャスティンと結婚して以来、彼を献身的にサポートする妻でモデルのヘイリー・ビーバー(旧姓ヘイリー・ボールドウィン)の存在もあって、ここ1~2年は精神的にもかなり安定した状態が続いており、何かあっても薬物の力に頼るようなことは一切なくなったそう。

 最後に、ジャスティンは自身と同じような問題を抱える人たちに向けてこんなメッセージをおくっている。

 「みんながみんな、朝起きてベッドから出るのがツラいわけではない。でも、少なくとも僕にはそれがとてもツラいことだった。そして、世の中には僕と同じような状況に置かれた人たちがたくさんいると思う。その人たちに『君は1人ぼっちで苦しんでいるわけじゃない』と言ってあげたい。人生は生きる価値がある。ここであきらめずに生きようと思っているなら、前に進むしかない」

 約2年間にわたって音楽活動をセーブしていたジャスティンは、ニューアルバム『チェンジズ』の発売を10日後の2月14日に控えているほか、5月から北米ツアーもスタートする。(フロントロウ編集部)

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