ウィリアム王子はジョーカーファン
今年度の映画祭を総ナメにしている映画『ジョーカー』は、第73回英国アカデミー賞(BAFTA)でも、主演男優賞に主役のホアキン・フェニックスが選ばれた。
その後ホアキンは、授賞式に参列していたロイヤルファミリーのウィリアム王子と対面。するとウィリアム王子は、こんな裏話を明かした。
「『ジョーカー』に完全にハマってしまいましたよ。あの作品は素晴らしかったです。みんなが“いつ見るかには気をつけなよ”と言うものですから、(映画を)見る前には、何度も何度も見ることを延期してしまいました。夜寝る前に見なくて良かったと思っています。しかし、あの素晴らしい演技には大きな喝采を送ります」
『ジョーカー』といえば、DCコミックスの悪役ジョーカーを主役に置き、現代社会の不条理をまざまざと描いた作品。過激なシーンも多く、R15指定になっている。
多くの人々に絶賛され、自身もファンだと明かすウィリアム王子だけれど、夜に見ることだけは避けてよかったと言って笑いを誘った。
ウィリアム王子とホアキンはスピーチで人種差別に苦言
そんなウィリアム王子とホアキンは両者とも、会場で行なったスピーチで、BAFTAにノミネートされた人々の多様性のなさに声を上げた。今年のBAFTAでは、演技部門にノミネートされたのは白人俳優だけであり、監督賞もポン・ジュノ氏を除いてすべて白人だった。
ホアキンは主演男優賞に選ばれたことについて、光栄だとしながらも、こう続けた。
「私が(多様性欠如の)問題の一部であることを恥じています。私が働くセットが包括的なものになるよう、私の権力を全て使いきれていません。しかし、セットが多様な文化であれば良いという話でもないでしょう。私たちは、構造的な人種差別をちゃんと理解するために、一生懸命にならなければいけません。その抑圧構造を作り出し、永続させ、恩恵を受けている人々にこそ、その構造を解体する義務があると思っています」
また、BAFTAの会長を務めるウィリアム王子は、多様性の欠如が問題になって久しい現在でも、未だに問題が解決に向かわないことに対して苦言を呈した。
「2020年になったにもかかわらず、そして(この話題が話されるのは)初めてではないにもかかわらず、私たちはこの分野やアワードの過程において、多様性を確保するために、より行動しなくてはいけないと話しています。これはシンプルに、昨今の時代において正しいことではない」
2020年BAFTAの授賞式では、真剣なスピーチも多かった一方で、ブラッド・ピットがウィリアム王子とキャサリン妃を目の前に、ヘンリー王子の王室離脱問題をイジる一幕もあった。(フロントロウ編集部)