新キャラが「おまけ」に
4月17日に日本公開されるディズニー実写版映画『ムーラン』には、1998年に公開されたオリジナルアニメに登場した、主人公ムーランの守護龍であり相棒的役割を担った赤いドラゴンの「ムーシュ」が登場しないとの情報が早い段階で伝えられていた。
そんな、ムーシュの代わりとなるキャラクターとしてフェニックス(不死鳥)が登場するという説が、2019年12月に公開された第2弾トレーラーに含まれる、フェニックスが大空を舞う一瞬の映像が確認されて以来濃厚となっていたが、このたび、思わぬ方法で、このフェニックスが実写版のストーリーにおいてかなり重要な役割を果たしていることが明らかになった。
実写版『ムーラン』において、フェニックスがムーシュに代わる存在となると海外のファンたちに確信させているのが、ディズニーが世界最大の玩具見本市「ニューヨーク・トイ・フェア」に合わせてお披露目した、同作のキャラクターをもとに制作されたムーラン人形の“おまけ”。
1,000人を超えるオーディションから選ばれた中国出身の女優リウ・イーフェイ扮するムーランの姿をモデルにした限定3,400体のこの人形には、ムーランが劇中で着用する鮮やかなレッドの防具つき衣装や実物そっくりのブーツ、そして、父から譲り受けた剣などがセットとなっている。
そして、定価129.99ドル(約14,500円)で3月28日に一般発売される、このムーラン人形のお供として同梱されるのが、ブルー、パープル、イエロー、グリーンの4色がグラデーションとなった美しい羽をもつフェニックスの人形。
予告編映像では、一瞬かつ逆光のため、フェニックスの全貌はよく見えなかったが、今回、人形がお披露目されたことで、同キャラクターがとてもカラフルで美しい姿をしているということがわかった。
ディズニー実写版映画の未公開情報が、作品よりも先行でお披露目されたおもちゃによって明らかになるのは今回が初めてではない。
2017年の年明けにも、同年春に公開された実写版『美女と野獣』で主人公のベルを演じた俳優のエマ・ワトソンの歌声が収録された“歌うベル人形”がおもちゃ店に並び、フライングで全世界に公開されてしまうというハプニングが起きた。
ムーシュが登場しない理由は?
アニメ版に登場したドラゴンのムーシュは、お調子者でコミカルな性格で知られ、映画『星の王子 ニューヨークへ行く』の俳優エディ・マーフィーがその声を担当。ムーランの冒険の旅の相棒となる需要なキャラクターとして描かれた。
ファンからの人気も高いムーシュを、あえて登場させないことについて、実写版の監督を務めたニキ・カーロ監督は、中国に伝わる神話に敬意を払いたかったと明かしながら、「この映画にも、祖先たち、とくにムーランとの父親との関係を象徴するようなスピリチュアルな生き物が登場します」と米Digital Spyにコメント。
さらに、「ドラゴンは男性の象徴であり、フェニックスは女性の象徴です。ジェンダー・フリュイディティ(性の流動性)を探求する物語を描いた作品にこのような表現を取り入れるというアイディアは非常に素敵で、適切なやり方なのではないかと考えました」とも語っている。
カーロ監督いわく、フェニックスはムーシュの“進化版”などではなく、まったく新しいキャラクターとして登場するようだが、果たしてどのように物語に絡んでくるのだろうか。予告編には悪役の1人が鷹に姿を変えるシーンも登場するが、フェニックスも何者かが魔法の力により姿を変えた仮の姿なのか、それとも…?
そもそも、主人公と物語の筋書きこそアニメ版と一緒だが、ストーリーは完全オリジナルとなる実写版『ムーラン』。
同作は、全年齢に適したファミリー向けの作品だったアニメ版とは異なり、よりシリアスなトーンで、戦闘シーンなども多く取り入れた内容となっているといい、暴力描写も含まれるため、アメリカでは13歳未満(12歳以下)の子供の観賞については保護者の厳重な注意が必要とされる「PG-13」に指定されている。(フロントロウ編集部)