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毎年3月8日は国際女性デー。これまでの歴史を振り返り、変革を呼びかけ、国や社会の歴史上すばらしい役割を果たした女性たちの勇気を称える日でもあるそんな日に見たい映画やドラマを厳選して9本ご紹介。(フロントロウ編集部)

『RBG 最強の85才』

 最高裁判所の判事が国の方向性を左右するアメリカ。人数は長官を含めて9人、任期は終身。その1人がルース・ベイダー・ギンズバーグ、通称RBG。現在86歳の彼女は、最高裁判事に選ばれた史上2人目の女性で、弁護士時代から現在にわたって女性やマイノリティの権利のために闘ってきた。本作は、そんなRBGの生き様を記録したドキュメンタリー。

 彼女は現在でも男子大学での女性排除、男女の賃金差別、投票法の撤廃など、さまざまな問題に立ち向かい、権利のために闘っている。英語版のキャッチコピーと同じく、「ヒーロー、アイコン、反発者」である彼女の物語をぜひ知ってほしい。


『ピリオド -羽ばたく女性たち-』

 生理に対する偏見や課税に反発する動きが強まっている現代にみてほしい、インド、ニューデリー郊外の村を舞台にした月経にまつわる映画。この村では、都会からそれほど遠くないというのに、生理に対する偏見が根強く、男性は生理が「悪い病気」の一種だと思い込んでいて、女性達は生理中には寺にも入れず神に祈ることも許されない。人々は生理を「悪いもの」だと考え、生理の仕組みすら知らない女性も多い。しかも、生理用ナプキンの使用率は約10%…。

 こんな環境に持ち込まれたのが、「生理用ナプキン製造機、パッドマシーン」。マシーン導入によって、少しずつ男女共に意識が変わっていく様子を記録した感動のドキュメンタリー。月経にまつわる問題を男性目線で描いたインド発の映画『パッドマン 5億人の女性を救った男』と合わせてみるとさらに面白い。


『ドリーム』

 人種差別や女性差別が横行していた1960年代初頭のアメリカで、米国人として初めて地球周回軌道を飛行した宇宙飛行士ジョン・グレンの功績を影で支えた、NASAの3人の黒人女性、キャサリン・ジョンソン、ドロシー・ボーン、メアリー・ジャクソンの知られざる物語を描いた映画。

 彼女たちは「黒人」「女性」という二重の差別にさらされているというのに、チャーミングかつ陽気で、スマート。メアリーが正当な権利を主張し裁判所で白人男性を説得する姿は、きっと忘れられないものになるだろう。当時の黒人女性が経験した不条理な差別を学べると同時に、スカッと胸のすく思いをさせてくれる映画。


『シークレット・スーパースター』

 ガールパワーを感じられるミュージカル映画といったらこれ。舞台は、多くの地域で家父長制や古くからの因習が根強く残るインド。

 歌手を夢見る15歳の少女インシアが夢に向かって突き進む姿をメインに描きながら、裏テーマとして据えられているのは“女性の自立”。厳格で有害な“男らしさ”で家庭を支配する父親と、それに耐えながら従う母親。そんな家庭にあっても夢を諦めないインシアは、イスラム圏で着用されるベールの「ブルカ」を着用し、YouTubeに歌の動画をアップロード。しかし、父親にそれがバレて、ギターの弦を全て切られてしまう…。

 決して海の向こうだけの出来事では無い問題を直視する同作。現代を生きる女性へのエールをくれる、涙なしにはみられないサクセス・ストーリー。


『女神の見えざる手』

 巧妙な戦略を駆使して政治を陰で動かすロビイストを描いた社会派サスペンス。

 ロビイストとは、簡単に言えば政治家などに対する根回しをする人たちのこと。特定の企業や団体の利益のために、政治家や官僚などの権力に働きかけ、有利な政策を実行するようにさせるのが仕事。日本で「ロビー活動」というと怪しい気がするけれど、海外では専門の会社があるほど立派な職業。

 本作では、天才的な戦略を駆使して政治を影で動かす女性の姿が描かれるのだけれど、その情熱たるや、もう鳥肌モノ。ここまでやるかという勝利への執念とプライドは、学ぶものがある。


『ビッグ・リトル・ライズ』

 女性の役に幅がないことに嫌気がさして自分の制作会社を立ち上げた、『キューティ・ブロンド』シリーズで知られるリース・ウィザースプーンがプロデュースしたドラマ。

 カリフォルニアの高級住宅地に暮らす子供達が通う学校で起きた事件をきっかけに、幸せなセレブママたちの抱える闇やそれぞれの秘密が明らかになっていく様を描いていくスタイリッシュなサスペンス。DVをはじめとした女性の様々な悩みを扱っている本作には、20代から50代まで様々な年代の女性キャストが集まっており、姉妹のような親しい関係を築けたという。

 女性が集まって制作された本作がエミー賞8冠、ゴールデン・グローブ賞4冠という素晴らしい賞を次々に受賞して成功したことも合わさり、「女性だけの現場は競争やキャットファイトなしにはあり得ない、成功しない」というハリウッドの性差別的な神話は打ち砕かれた。


『キリング・イヴ』

 ヨーロッパ各地で暗躍するサイコパス的人格の暗殺者ヴィラネルと、英国の諜報機関MI6のもとで極秘に事件を追う女性エージェントのイヴ。やがて2人は互いを意識し合うように…。美しく冷酷な暗殺者と、優秀な捜査官とのスリリングな攻防を描くスタイリッシュなサスペンス。

 捜査官を演じるのは、ドラマ『グレイズ・アナトミー』のサンドラ・オー、ヴィラネルはジョディ・カマー。本作も女性中心のチーム、キャストで制作されており、脚本はなんと、エミー賞やゴールデン・グローブ賞を総なめにしたフィービー・ウォーラー=ブリッジ。

 女性殺し屋VS女性捜査官をW主演に置いた、スリラー界では異色作の『キリング・イブ』は、フェミニスト・スリラーとよばれ、「#MeToo時代の完璧なショー」と評されたことも。女性を過小評価することの危険性を描いた、魅力的な作品。


『ジェントルマン・ジャック 紳士と呼ばれたレディ』

 19世紀のイギリス・ヨークシャーで、邸宅シブデン館の再興に力を尽くした女性、アン・リスターの伝記ドラマ。‟近代最初のレズビアン”とも言われる彼女が暗号で書いた日記をモチーフに、彼女の波乱万丈な半生を描いている。

 彼女は黒装束に身を包み、馬車を操り、銃を撃つ。英国では当時タブーとされていたことを行なうばかりではなく、そのカリスマ的なリーダーシップで、地元住民からは“紳士ジャック"という名で親しまれていた。アンはレズビアンであることを自認し、英国で初めて女性同士の結婚式を挙げたことから、最近ではLGBTQ+の歴史的アイコンにもなっている。どんな逆風の中でも自分に正直であり続けたひとりの女性の、ドラマティックで壮大な物語は癖になる面白さ。


『セックス・エデュケーション』

 悩み多き高校生活にスポットを当てた本作は、セックスセラピストの母を持つ高校生オーティスと同級生のメイヴが、学内でセックス・セラピーを始めるという風変わりなドラマ。そんな本作は、恋愛、セクシャリティ、親子関係、アイデンティティなど、様々な悩みが描かれていて、きっと誰もが心当たりのあるキャラクターを見つけられるに違いない。

 なかでもシーズン2は、エンパワーメントとシスターフッドに溢れている。傷ついた時には励まし合い、助け合う女友達の描かれ方はとてもリアリティがあり、多くの視聴者の共感を呼んでいる。


 国際女性デーは女性の活躍が描かれている映画やドラマを見て、女性の歴史、功績、存在を祝って。(フロントロウ編集部)

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