『007』シリーズベスト5〜1
ベスト5『007 スカイフォール』(2012)92%
「ボンド死す?」という衝撃の触れ込みとともに、世界中で大ヒット。シリーズ23作目で、ダニエル・クレイグがジェームズ・ボンドを演じた3作品目がベスト5に。
監督は『1917 命をかけた伝令』で2020年のアワードを賑わせたサム・メンデス。サムは『007』シリーズを監督したことに対し、「『007』シリーズを撮るのは体に悪い」「考えると胃がひっくり返りそうになる」と米Indie Wireに語っているほど、命がけで撮影に挑んでいたそう。
この作品でM役のジュディ・デンチは降板、4代目のQとしてベン・ウィショー、マネーペニーとしてナオミ・ハリスが参加。ボンドガールのゼヴリンはベレニス・マーロウ。
ベスト4『007 カジノ・ロワイヤル』(2006)95%
ジェームズ・ボンド役がダニエル・クレイグに交代して初めての作品で、シリーズ21作目の『007 カジノ・ロワイヤル』が第4位。
6代目ジェームズ・ボンドに抜擢されたダニエルは、「ブロンドで青い目」という、これまでとは全く違う「ジェームズ・ボンド」像を開拓。体型も見た目もボンド役にそぐわないと多くの観客から批判されていたけれど、公開が始まると評価は一変。大絶賛とともに受け入れられ、いまや現代のジェームズ・ボンドの顔とまで言える存在に。そんななかダニエルは、公開前にあまりにもバッシングを受けすぎて母親に相談したこともあると米GQで明かした。
ボンドの人生に大きく影響を与えることになったボンドガールは、エヴァ・グリーン。「北欧の至宝」と呼ばれるマッツ・ミケルセンも悪役として参加している。英国諜報機関MI6のスパイ、『ダブルオー』の地位に昇格したボンドのフレッシュかつスタイリッシュなアクションを堪能できる。
ベスト3『007 ドクター・ノオ』(1962)95%
記念すべき映画化第1作目の本作がベスト3にランクイン。初代ボンドを務めたショーン・コネリーは、現在でも「最高のボンド」と評する声が多いほど、根強い人気を誇る。
日本初公開時のタイトルは『007は殺しの番号』。ジェームズ・ボンドは、任務中に容疑者を殺めても罪に問われないという「殺しのライセンス」が与えられていることから、そのタイトルになったといわれる。
本作で、多くのファンがイメージするワイルド&セクシーなボンド像が確立。ボンドガールはウルスラ・アンドレス。海から上がってくるときに、貝を両手に持っているところが印象的。
『007 ドクター・ノオ』は、なんと2020年11月20日に公開が決まった大人気スパイアクションシリーズの最新作『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』と、意外な繋がりを発見できるので、ぜひチェックしたい。
ベスト2『007 ロシアより愛をこめて』(1963)95%
前作『ドクター・ノオ』の大成功を受けて制作されたシリーズ第2作目が、さらに高評価の第2位に。
ショーンが再びボンドを演じ、あふれる男の色気とアクションを見せてくれた本作は、誰もがスパイ映画で見たことのある「秘密道具」が初登場する。窮地のボンドを救ってくれるアタッシュケースは、ファンにとってはたまらない。
クールな女性スパイがボンドに恋に落ちる本作。ボンドガールのダニエラ・ビアンキは「史上最高のボンドガール」という呼び声が高い。
ベスト1『007 ゴールドフィンガー』(1964)97%
人気第1位の座に輝いたのは、ショーンがボンドを演じたシリーズ3作目の『007 ゴールドフィンガー』。前作2作品とは毛色が違い、はちゃめちゃな展開やアクションが話題を呼び、1964年の世界映画興行収入1位にもなった。
本作はテンポの良さと様々なスパイ道具、3人の美女など、『ザ・007』な見どころ満載!油の乗ったショーンはセクシーすぎるし、鬼気迫るカーチェイスもあり、文句なしの娯楽大作に仕上がっている。
ちなみに、金箔を全身に塗りたくられ、皮膚呼吸ができなくなって窒息死する人が登場するけれど、現代の研究では、体に金箔を塗っても死なないとわかっているから安心して。
『007』シリーズワースト5〜1
ワースト5『007 ダイ・アナザー・デイ』(2002)57%
第5代目ボンドのピアース・ブロスナンがボンドを演じたシリーズ20作目がまさかのワースト入り。本作は、シリーズ40周年、通算20作品目ということもあり、過去作品からのオマージュがふんだんに取り入れられているために、人気も高いけれど、それだけ評価も厳しくなってしまったよう。
ピアースは本作でボンドを卒業。『007 ゴールデンアイ』『007 トゥモロー・ネバー・ダイ』『007 ワールド・イズ・ノット・イナフ』と合わせて4作品で主演を務め上げた。
初代から5代目までのボンドと共演したQ役のデスモンド・リュウェリンはピアースを「ショーン以降、最高のボンド」だと評価していることがさまざまな音声で残されている。
ちなみに、ピアースとデスモンドが共演した『007 ゴールデンアイ』で初登場したボンドのスパイ道具の「ペン型爆弾」は、ファンにとってはにっこりしてしまうような逸品だけれど、その後『007 スカイフォール』に登場したハイテク世代の若きQに「あんなもの、アンティークですよ」と一蹴されてしまう。そんなところも歴代『007』の変化が見られて面白いところ。
ワースト4『007 ワールド・イズ・ノット・イナフ』(1999)52%
ピアースが演じたボンドの3作目、『007 ワールド・イズ・ノット・イナフ』がワースト3。このころは映画界にCGや大スペクタクル・アクションが流行していたけれど、その技術力が仇となってしまったのかもしれない。
ただ、ボンド特有のセクシー・ジョークやソフィー・マルソー演じるボンドガールのあふれる美はこれまで以上に濃厚。そして実は、タイトルにもなっている「ワールド・イズ・ノット・イナフ」とは、ボンド家の家訓。原作小説では、「この世も足らず」と訳されている。家訓がわかるのは、シリーズ7作目の『007の女王陛下』ボンド家の紋章が調べられたときのこと。
また、『007 ロシアより愛をこめて』から『007 死ぬのは奴らだ』以外の17作品に出演したQ役のデスモンド・リュウェリンが引退し、遺作にもなった本作。最高の武器を届けてくれる、最高のおじいさんだった。
ワースト3『007 黄金銃を持つ男』(1974)44%
『007』シリーズ史上最もコメディ色が強いと言ってもいいシリーズ9作目の『007 黄金銃を持つ男』がワースト3に。相撲取りやカンフー使い、ボンドガールのモード・アダムスは全編通してほとんど水着!
なんと1作目から候補に上がっていたというロジャー・ムーアは、みごとコミカルでダンディなボンドを好演。
秘密基地で大暴れし、危険な武器を壊し、信じられないぐらいドジっ子なボンドガールとセクシーすぎるボンド。家族みんなで見られるかもしれない、爆笑の一作。
クリストファー・リー演じる悪役のフランシスコ・スカラマンガは、真っ白いスーツをビシッと着こなし、とっても渋い。けれども、部屋着はジャージという、なんとも開放的な一面も見せてくれる、最高のキャラクター。
ワースト2『007 オクトパシー』(1983)41%
ワースト2位は、ロジャー・ムーアがボンドを演じた『007 オクトパシー』。
本作は、ボンドがヒッチ・ハイクで小馬鹿にされたり、「時間がない!」と言いながらもバッチリ決めたピエロのコスプレをしてくれたりと、見ていて飽きない大ボケを何発もかましてくれるスパイ・コメディ。ロジャーがボンドを演じていた際は、このようなギャグ要素が非常に多かったため、それ見たさで何度も繰り返し見てしまうような味わい深さがある。
ちなみに、現代ではCGで済ませてしまうような、走行している列車の上での格闘や飛行機へのしがみつきシーンは、スタントマンたちによって本当に行われたアクション。
タイトルにもなっているオクトパシー役のボンドガールを演じたのは、モード・アダムス。
ワースト1『007 美しき獲物たち』(1985)36%
シリーズ14作目で、3代目ジェームズ・ボンドを務めたロジャー・ムーアのボンド引退作にもなった『007 美しき獲物たち』がワースト1位。
『007』シリーズで最多の7作品に出演したロジャーの作品は、評価が低いものは多いけれど、それだけファンも多い。シリーズの中で、最もコミカルで軽快なストーリーを演じ切った彼は、最も愛すべきボンドと言える。
本作にはアカデミー俳優のクリストファー・ウォーケンが出演しているけれど、彼が魅せた壮絶すぎるサイコっぷりは一見の価値あり。
そして期待高まる最新作、『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』は2020年11月20日日本公開。25作品目かつダニエル・クレイグのシリーズ引退作になる本作が待ちきれない。(フロントロウ編集部)
※この記事は一部内容を訂正いたしました。