シンガーのアリアナ・グランデのライブ会場で発生した2017年5月の自爆テロ事件で、22名の命を巻き添えに死亡した22歳の犯人の男の弟が、犯行に関与した罪で有罪判決を受けた。(フロントロウ編集部)

実行犯の「弟」に有罪判決

 2017年5月22日、シンガーのアリアナ・グランデの公演終了後に起き、幼い子供を含む22名の命が奪われたイギリス・マンチェスターでの自爆テロ事件に関する裁判で、実行犯の故サルマン・アベディ容疑者(犯行当時22歳)の弟のハシム・アベディ容疑者(22歳)に22名を殺害した罪で有罪判決が下された。

 兄サルマン容疑者の犯行当時、弟ハシム容疑者は現場にはおらず、すでに事件の1カ月前にはイギリスから出国。両親の母国であるリビアに滞在していたものの、サルマン容疑者が犯行に使用した爆弾を製作していた物件からは、ハシム容疑者の指紋やDNAが検出されていた。

 ハシム容疑者は2019年7月にリビア当局からイギリスへと移送され殺人容疑で身柄を拘束されていた。

 ハシム容疑者は事件への関与を否定し、「兄とは距離を置こうとした」などと供述していたが、検察側は、証拠をもとに犯行の計画から爆弾に使用された材料の調達、実験などに加担していたとして、サルマン容疑者と同等の罪に問われると主張。

画像: 事件から2年が経過した2019年5月にマンチェスター市内で行なわれた追悼セレモニーの模様。

事件から2年が経過した2019年5月にマンチェスター市内で行なわれた追悼セレモニーの模様。

 ロンドンにあるオールド・ベイリー裁判所は、現地時間の3月17日、ハシム容疑者は実際に爆弾の引き金を引いたわけでは無いが、兄サルマン容疑者と同等に犯罪に関わったとして、22名の殺害、および殺人未遂、また爆破を計画した罪で有罪判決を下した。

 同事件の死者22名には7名の子供たちが含まれるほか、負傷者は237名。670名の生還者たちが現在もPTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しんでいるという。

 自身のコンサート会場が事件発生の現場となったアリアナも、事件から約3年が経とうとしている現在もPTSDに悩まされていることをインタビューなどで度々明かしている。

画像: 事件の翌々週に被害者たちとその家族への追悼・支援を目的に「ワン・ラブ・マンチェスター」と題したチャリティー・コンサートを開催したアリアナ。

事件の翌々週に被害者たちとその家族への追悼・支援を目的に「ワン・ラブ・マンチェスター」と題したチャリティー・コンサートを開催したアリアナ。

 アべディ兄弟はマンチェスターの出身のリビア系イギリス人。英Telegraph によると、リビアから難民としてやってきた両親のもとに生まれた兄弟は、10代前半の頃に一度、両親の祖国リビアを訪れたが、それをきっかけにイスラム過激主義者と繫がりを持つようになったと伝えられている。(フロントロウ編集部)

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