『ワンダーウーマン 1984』は前作の続編ではない
ガル・ガドット演じる“ダイアナ”ことワンダーウーマンは、2016年に公開された映画『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』で初登場したDCコミックスのヒーロー。2017年には第一次世界大戦中の活躍を描いた単独映画『ワンダーウーマン』が世界的な大ヒットを記録した。
2020年6月12日に公開される『ワンダーウーマン 1984』は、ガル演じるワンダーウーマンを描いた第2作目の映画。しかし、2017年に公開された映画『ワンダーウーマン』の続編というわけではない。
この2作品はガルという同じキャストがワンダーウーマンを演じているけれど、『ワンダーウーマン』の舞台は1917年、『ワンダーウーマン 1984』の舞台は1984年と、2作品の時代設定には約70年間もの隔たりがある。ガルは『ワンダーウーマン 1984』について、「続編じゃなくて、単独のストーリー」と米San Diego Comic Con 2018でコメントした。
「(『ワンダーウーマン1984』は)独自の物語で、全く新しい映画。ハードルは高くなってるけど、私たちの野心はさらに大きい。持てる力を全て注ぎ込んで、みんなに愛されるものにしたい」と、続編ではなくあくまでもワンダーウーマン作品の「新作」であることを強調。
『ワンダーウーマン 1984』はなぜ1984年が舞台?
同イベント内で、『ワンダーウーマン 1984』監督のパティ・ジェンキンスはなぜ本作の時代設定が1984年になったかを明かした。
80年代に青春時代を過ごしたパティ監督は、「この時代がエキサイティングだと思ったのは、80年代のスタイルが面白いからというだけではなく、歴史上、最高で最低な時期だったから」とコメント。
「あの頃は盛り上がっていて、豊かで、素晴らしい音楽があり、エレガントで美しいものであふれていたけど、同時に人間のいちばん醜い面も現れていた。そんな最も極端だった時代にワンダーウーマンを登場させるのは、素晴らしいと思って」と説明した。
ちなみに、80年代に起きた歴史的に「醜い面」として考えられるのは、冷戦による世界の対立や、人的ミスにより発生したチェルノブイリ原子力発電所事故、当時史上最大規模の世界的株価の大暴落となったブラック・マンデー、それを引き起こす要因となったイラン・イラク戦争など様々な出来事など。
『ワンダーウーマン 1984』のあらすじは?
『ワンダーウーマン 1984』は、世界が破滅に向かっていく1984年を舞台にかつてないほどの危機に立ち向かうワンダーウーマンの壮絶なバトルを描いている。
予告編では、1983年にリリースされたニュー・オーダーの「ブルー・マンデー」という曲に合わせて、軽快なアクションが披露。
そこに、「欲望の時代へようこそ」「誰よりも幸せになりたい?」「あなたの願いは全て私が叶えよう」とテレビの中から語りかける怪しい男。この男は、マインドコントロールを得意とするヴィランのマックスウェル・ロード。まだ本編の詳細は明かされていないけれど、物語の鍵を握っているのは間違いない。
なぜなら、監督のパティは「一番大切なのは(1980年代は)西洋文化が大きく成長した時代であり、私たちが暮らす現代においても、その影響が残っているということ。そんな現在進行中の価値観の中にワンダーウーマンがいたらどうなるか、そこにはどんなヴィランが登場するか、何が起こるかに興味があったんだ」と、語っているため。
「70〜80年代の映画にはよくショッピングモールが登場する」と言われるけれど、今回の予告編にも、ショッピングモールが登場。テレビでは消費を促すマインドコントロールをするヴィランが人々の欲望に火をつけ、新しい時代にやってきたワンダーウーマンはどう問題を解決するのかが、本作の見どころと言える。
また、有名なSF小説『1984年』も同じ年号がタイトルに選ばれている。『1984年』は、近未来の管理社会の中で「ビッグブラザー」と呼ばれる高位の存在が大衆を洗脳し、支配するという内容。『ワンダーウーマン 1984』が偶然この作品と同じ時代に設定されているのは、もしかしたら偶然ではないかもしれない。
DC映画『ワンダーウーマン 1984』は、2020年6月12日に日本公開。(フロントロウ編集部)