4月2日は「世界自閉症啓発デー」。自閉症への理解を深め、自閉症とともに生きる人たちやその家族をサポートするために、世界中で行なわれている取り組みを紹介! (フロントロウ編集部)

世界自閉症啓発デーとは?

 毎年4月2日は国連が定めた「世界自閉症啓発デー(World Autism Awareness Day)」。

 自閉症がある人が生きやすい世界を目指し、自閉症について知り、理解を深めるきっかけにしようという記念日であるこの日は、2007年12月18日に開催された国連総会において、カタール王国王妃のシェイカ・モーザ・ビント・ナサ・アル・ミスネッド首長妃殿下の提案により採択。以来、毎年、世界各地で自閉症をはじめとする発達障がいについて、広く啓発する取り組みが行われている。

画像: 世界自閉症啓発デーとは?

 さらに、4月2日~8日は「発達障害啓発月間」、そして、4月の1カ月間は「自閉症啓発月間」に制定されている。


自閉症とは?

 自閉症は、遺伝的な要因が複雑に関係して起こる生まれつきの脳機能障害で、症状が軽い人も含めると約100人に1人いると言われている。

 最近では、「自閉症」、「高機能自閉症」、「アスペルガー症候群」などを総称し、症状が軽い人たちまで含めて、「自閉症スペクトラム障害(Autism Spectrum Disorder/略称:ASD)」という呼び方もされている。 

画像: 自閉症とは?

 ① 対人関係の障害、②コミュニケーションの障害、③ パターン化した興味や活動という3つの特徴をもつ障害である自閉症スペクトラムは、生後まもなく明らかになる人もいれば、大人になってから正式に診断を受ける人もいる。


世界自閉症啓発デーに合わせた世界での取り組み

 2020年の世界自閉症啓発デーに向けて、日本を含む世界の国々で、さまざまなイベントが計画されていたものの、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の蔓延の影響を受け、急遽キャンセルに。

 しかし、人々が自主隔離・外出自粛を徹底するなかでも、可能な限り、世界自閉症啓発デーを盛り上げ、自閉症とともに生きる人たちや、その家族をサポートしようと、多彩な取り組みが行なわれている。

 フロントロウでは4つの取り組みをピックアップして紹介。


<1>ランドマークに青い光が灯る「ライト・アップ・ブルー」

 自閉症啓発のため世界をつなげる“光のリレー”として、自閉症支援団体オーティズム・スピークス(Autism Speaks)が2010年にスタートしたのが、自閉症のシンボルカラーである青にちなみ、世界各地のランドマークを青くライトアップするイベント「ライト・イット・アップ・ブルー」。

画像: 2019年の世界自閉症啓発デーに行なわれた米ニューヨークのエンパイア・ステート・ビルディングのライトアップ。

2019年の世界自閉症啓発デーに行なわれた米ニューヨークのエンパイア・ステート・ビルディングのライトアップ。

 毎年恒例となっているこの催しは、今年は、新型コロナウイルス感染拡大への懸念から、やむなく中止を決断する施設も多いが、人々を集合させないことを前提に予定通り実施する施設もある。

 日本では、東京港区にある東京タワーで4月2日(木)夜にライトアップが行なわれる(※2)ほか、全国各地のランドマークで4月2日~8日かけてライトアップが実施される。

※2 点灯式には一般来場者の観客席は設けず、報道関係者のみ受付。

 さらに、SNSでは、ライトアップをする代わりに、ブルーの洋服を着用した写真や動画を「#lightitupblue」というハッシュタグとともに公開するという取り組みも広がっている。


<2> ディズニーアニメ&『セサミストリート』に自閉症のキャラが登

 日本でもスカパー!やスカパー!プレミアムで視聴できるディズニーの子供向け番組専用チャンネル「ディズニー・ジュニア」で放送されている『おしゃれにナンシー・クランシー』。

 6歳の女の子ナンシーが主人公の同アニメには、4月2日の世界自閉症啓発デーに北米で放送される新エピソード「Nancy’s New Friend(ナンシーの新しい友だち)」に、自閉症をもつ「ショーン」という名前の男の子のキャラクターが登場。

※日本での同エピソードの放送日は未発表。

 ナンシーと友人ライオネルの従兄弟であるショーンとのふれあいを通じて、子供たちに自閉症をもつ友だちとの関わり方を教える。

 ショーンの声は、2017年、当時9歳の頃に公開した、“自閉症とともに生きること”を自ら解説したユーチューブ動画が世界的な注目を集めた、自閉症の少年ジョージ・イオノリス(11)が担当する。

 さらに、アメリカで国民的な人気を誇る子ども向け教育番組で、日本でも英会話の教材などにも使われている『セサミストリート』は、2017年に自閉症をもつ女の子のキャラクター「ジュリア」を起用して大反響となったが、4月9日(土)にされるエピソードにジュリアが再登場する。

画像: 自閉症をもつ女の子のキャラクター「ジュリア」。前回ジュリア役のパペットを担当したのは自閉症の息子を持つ母親であるスタッフだった。

自閉症をもつ女の子のキャラクター「ジュリア」。前回ジュリア役のパペットを担当したのは自閉症の息子を持つ母親であるスタッフだった。

 このエピソードは、ジュリアが心の支えにしている特別なおもちゃ“フラッフスター”を3歳のオレンジ色のモンスター、ルディーが取り上げてしまうというストーリー。

 自閉症の人々が何か1つの物に強いこだわりと愛着を持つ傾向にあるという特徴を説明し、それを取り上げられてしまった場合の影響や対処について説明する。


<3> “自閉症フレンドリー”なスニーカーコレクションが発表

 人気スポーツブランドのVANS(ヴァンズ)は、自閉症の子供たちのために開発したスニーカーコレクションを発売。

 自閉症スペクトラムをもつ人の75%が感覚統合障害をもっており、さまざまな刺激に過敏に反応することが報告されているが、身に着ける洋服や靴にも、心地悪さを感じてしまう人も多い。

 強い色彩やフィット感の強い生地、縫い目、タグなどにも不快感を抱いてしまうなか、VANSは、自閉症のシンボルカラーであるブルーをやさしくトーンダウンし、靴紐よりも扱いやすいベルクロ(面ファスナー)を採用したスニーカーを発表。さらに、通常のモデルよりも装着しやすい着脱用に便利なタブをつけたスリッポンもラインナップした。

 世界自閉症啓発デーに先立ち、3月上旬に販売を開始した同コレクションの収益のうち10万ドル(約1千700万円)以上が、自閉症の子供たちに無料でスケートボードを教えるチャリティ団体A.スケート・ファンデーション(A.skate Foundation)に寄付される。


<4>「66回ジャンプ」SNSチャレンジが始動

 カナダを拠点に活動する俳優のピーナ・ディ・ブラーシは、役者業の傍ら、ケベック州モントリオールにある自閉症や学習障害の子供たちをサポートするチャリティ団体ミリアム・ファンデーション(Miriam Foundation)でボランティア活動を行っている。

 そんな彼女が、新型コロナウイルス感染拡大防止の自宅隔離中にスタートさせたのは、「66回ジャンピングジャックをする」というSNSチャレンジ。

 ピーナが、外出自粛中の運動不足解消も兼ねて始めたというこのチャレンジの「66回」とい数字は、毎年66人に1人の子供たちが自閉症スペクトラムと診断されるというデータにちなんだもの。


 新型コロナウイルスの影響により、世界中の人々が自宅待機を行ない、これまでの日常とは違う生活スタイルへの順応を余儀なくされている。

 同じ行動を繰り返すことを好み、変化にうまく適応できないことが多い自閉症の人々にとっては、今は非常につらい時期。いつもと同じケアが受けられず、不安を感じる人も多いなか、社会全体が少しでも自閉症について学び、理解を深め、必要に応じて支援の手を差し伸べることが必要となる。(フロントロウ編集部)

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