『007』シリーズ、「次のボンド」問題
1962年に第1作目の映画『007 ドクター・ノオ』が公開されてから、2020年11月20日に公開される最新作『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』まで、25作品にわたって歴史を紡いできた『007』シリーズ。
本作は、主人公ジェームズ・ボンドを演じる俳優を入れ替えながら代々続き、現在はダニエル・クレイグが6代目のボンドを演じている。ダニエルがボンドとして登場したのは2006年公開の映画『007 カジノ・ロワイヤル』から。
ダニエルの前はピアース・ブロスナンが5代目のボンドを演じていたけれど、「次のボンド役」のキャスト選考は、ピアースがボンドを引退する2作品前の『007 ワールド・イズ・ノット・イナフ』から始まっていた。
『アメリカン・サイコ』の素晴らしい演技
映画『007 ワールド・イズ・ノット・イナフ』が公開された1999年、『007』のプロデューサーは、次のボンド俳優となる人物を探していた。
ちょうどその時に公開されたのが、クリスチャン・ベールを主役とした映画『アメリカン・サイコ』。本作は、ウォール街でバリバリ働くリッチで容姿端麗な男性が、その外面とは正反対に、異常なほどの殺人衝動を抱えているという衝撃作。クリスチャンはその狂った男を圧巻の芝居で演じきり、多くの観客を恐怖させた。
『Christian Bale: The Inside Story of the Darkest Batman』という書籍によると、もともとクリスチャンは「次のボンド役」としてのリストに入っていたそう。そして、『007』プロデューサーのバーバラ・ブロッコリは、『アメリカン・サイコ』を見て「クリスチャンが望むならば彼に」と思ったとか。
ところが、当のクリスチャンは「非常にイギリス的」な『007』というシリーズに参加することも、ボンド役になることにも全く興味がなかったため、断ったという。その後、ボンド役はダニエルに決定した。
『007』を選ばずも、順調な役者人生
クリスチャンは、『007』という超大型シリーズを断ってしまったもののその後、順調に俳優としてのキャリアを積んできた。
映画『バットマン ビギンズ』から始まる三部作、「ダークナイト・トリロジー」でバットマンの役を好演。2010年には映画『ザ・ファイター』でアカデミー助演男優賞とゴールデングローブ賞 助演男優賞を受賞。2019年には映画『フォードvsフェラーリ』でゴールデン・グローブ賞主演男優賞にノミネート。さらに、2021年にはマーベル映画『マイティ・ソー』シリーズの第4段、『マイティ・ソー/ラブ&サンダー』への出演も決まっている。
ダニエルの「次のボンド役」問題
ダニエルは、最新作『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』でボンドを卒業することを宣言している。そのため、次なるボンド役はもうすでに選考が始まっているはず。
一時期は、ラシャーナ・リンチ演じる女性エージェントが「007」というエージェント名を受け継ぐともウワサもあったけれど、プロデューサーのバーバラは、次のボンドが女性になる説については否定している。
ダニエルの『007』シリーズ引退作となる映画『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』は、2020年11月20日に公開。(フロントロウ編集部)