運休中のスクールバスが生徒たちに「届けている」もの
新型コロナウイルス(COVID-19)の感染者数が4月2日時点で21万人を超え、世界最多となったアメリカ。全米の小中高、大学やそのほかの教育機関で休校措置が続くなか、外出自粛中の生徒たちは自宅での学習を余儀なくされている。
多くの学校が通常のカリキュラムの代替案として独自のシステムを使ったオンライン学習を取り入れ始めているが、自宅でインターネットにアクセスすることができない生徒たちも少なくない。
米AP通信によると、自宅ではインターネットを利用することができない生徒の数は全米で約300万人。この数字は、全体の約20%を意味し、就学児のいる家庭の3分の1が貧困などのためインターネットにアクセスできる環境を整えることができていないという。
そんななか、休校措置とともに運休となっているスクールバスを利用した画期的な方法が米各地の学校で導入されている。
それは、スクールバスを「WiFiスポット」として活用するというもの。
WFiルーターを搭載したスクールバスを自宅にインターネット用の設備がない生徒が多い地域に配備。生徒たちは、バスの窓などに貼りだされた専用のパスワードを入力して、スマホやタブレットといった端末からインターネットに接続することができる。
つまり、スクールバスはWiFiの電波を届けているというわけ。
各世帯にWiFIルーターを配ったり、設置したりするには費用がかさみすぎるが、この方法なら、コストを抑えつつ、現在は本来の役割を果たしていないスクールバスを有効利用できる。
米メディアabc3340によると、アラバマ州フーバーでは、8台のバスがWiFiスポットとして稼働中。さらに、カンザス州やウィスコンシン州、サウスカロライナ州の一部の学校でもこの方法が採用されている。
米WAOWによると、ある程度近くに行かないと接続できない場合もあり、車で学校の駐車場などに停車したバスの近くまで出向き、車内でWiFiに接続してオンライン学習に取り組むという方法を取っている生徒たちもいるそう。
カンザス州にあるジャーディン小学校のアンジェラ・ポメロイ校長は「自宅にWiFiが無い生徒たちの役に少しは立つはずです」と自信を口にしている。(フロントロウ編集部)