21歳の女子大学生が「聴覚障害者や難聴者のためのマスク」を考案。画期的なアイディアに称賛の声があがっている。(フロントロウ編集部)

耳の不自由な人のためのマスク

 新型コロナウイルス感染拡大防止のため、これまでは、風邪や花粉症の予防や拡散防止といった目的でマスクをする人が日本やアジア各国と比べて少なかった欧米でも、マスクの着用が一般化した。

 もっとも、世界的にマスク不足が深刻化し、できる限りの在庫をエッセンシャル・ワーカー(医療従事者をはじめとする、必要不可欠な業務を行う人)たちに回そうという動きが主流となった現在は、自宅でマスクを手作りする人も増えている(※)。

画像: ※米国疾病予防管理センター(CDC)は新型コロナウイルスの感染者に対して、医療基準に達しない自家製マスクの着用を推奨していないものの、感染していない人が予防目的で使用することに関しては感染拡大の遅延に繋がるとして認めている。

※米国疾病予防管理センター(CDC)は新型コロナウイルスの感染者に対して、医療基準に達しない自家製マスクの着用を推奨していないものの、感染していない人が予防目的で使用することに関しては感染拡大の遅延に繋がるとして認めている。

 その裏で、見落とされがちなのが、耳が不自由な人たちとのコミュニケーションだ。

 聴覚障害者や難聴者たちの多くは、普段、手話にくわえて、相手の口や唇の動きを読み取る「読唇術」と呼ばれる手段や、相手の表情の変化を読み取ることによって話の内容を理解している。しかし、マスクをした状態では相手の口元が見えず、手話を使えない人とのコミュニケーションには、これまで以上に困難が生じている。

 米ケンタッキー州にあるイースタン・ケンタッキー大学で聴覚障害者教育を学んでいるアシュリー・ローレンスは、この問題を解決する一端を担えればと、マスクをしていても耳の不自由な人とのコミュニケーションが円滑に行える特殊なマスクを考案した。

 アシュリーが彼女の母とともに、自宅のミシンを使って自作したこのマスクは、口元部分に透明なプラスティック素材を使用しており、唇の動きが見えるようになっている。

 「たくさんの人々が見落とされていると感じました。今、私たちはみんなパニックに陥っていて、ほかの人のことを考える余裕がありません。でも、こんな時だからこそ、人々はコミュニケーションを取らなくてはいけないと思うんです」と、このマスクを作ろうと奮起した理由を現地メディアLex18に語ったアシュリー。

 自宅にあったシーツを活用してマスクを作り始めたという彼女のもとには、アメリカ国内の6つの州の人々から注文が寄せられているという。

 アシュリーは、これらのマスクを無料で提供しているが、外出自粛中で時間の余裕がある人たちにも、ぜひ同様のマスクの製作に取り組んで欲しいと呼びかけており、今後、作り方のチュートリアル動画をユーチューブで公開予定。

 さらに、アシュリーは、補聴器を使用する人専用に、耳に掛けるのではなく、頭の後ろまで覆い、耳の部分に穴をあけた構造のマスクも考案中とのこと。(フロントロウ編集部)

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