米コストコの「ヒーロー」優遇策
新型コロナウイルスの拡大とともに、世界各国で「パニック・バイイング」と呼ばれる人々の過度な買い占めが問題となるなか、米コストコが、職業柄、もっとも影響を受けやすいエッセンシャル・ワーカー(必須労働者)たちのために優遇措置を導入することを発表した。
すでに、アメリカ国内の全店舗で60歳以上の高齢者や障がいを持つ人が安心して買物できるよう、週3回の専用の買い物時間を設定するという対策を講じている同社は、新たに、医師や看護師、救命士といった医療従事者や、警察や消防隊員といったファースト・レスポンダーに対し、毎朝開店後、真っ先に入店できるという優遇策を発表。
これは、自宅待機中の人々とは違い、終日の激務で買い物に出かける時間がなかなかなく、終業後にようやく店を訪れたときには、すでに店内の棚がガラガラで、必要としていたものが手に入らなかった…といった各地のエッセンシャル・ワーカーからの嘆きの声に応えるべく実施されるもの。
現在、入店人数を制限し、対人スペースを確保するという目的で、コストコをはじめ、アメリカやカナダの多くのスーパーやドラッグストアでは、店前につねに行列ができている状態。
しかし、該当者たちは、コストコの会員カードとエッセンシャル・ワーカーであることが証明できるIDを提示すれば、行列に並ばなくとも入店できる。これなら、彼らは、店内の品物が豊富な朝のうちに、素早く買い物を済ませてから出勤するということも可能になる。
新型コロナウイルスが猛威を振るい続ける今、最前線ではたらく医療従事者たちや、地域の安全を守るために通常業務を続けてくれているそのほかのエッセンシャル・ワーカーたちは、言うまでもなく、ヒーローのような存在。
米コストコの今回の優遇策は、そんなヒーローたちが生活に必要な品をきちんと手にできるようにと考えられたものだ。
海外では、このほかにも、さまざまな方法でエッセンシャル・ワーカーを優遇する取り組みが広まっている。
米アマゾンは、N95と呼ばれる医療グレードのマスクを一般顧客に販売することを中止。在庫が入り次第、医療スタッフに寄付している。
サンフランシスコ市英鉄道は、外出自粛により利用者が減っている路線を中心に列車の運行本数を半分近く削減し、その分、エッセンシャル・ワーカーたちの利用が多い路線の列車を増発した。(フロントロウ編集部)
※記事内の写真はすべてイメージです。