Photo:ゲッティイメージズ、スプラッシュ/アフロ、ニュースコム
2019年の映画『ジョーカー』で主役アーサー・フレックを演じたホアキン・フェニックスが、なんとバットマンを演じていた可能性があった!(フロントロウ編集部)

ホアキン・フェニックスがバットマンを演じていたかも

 映画『ジョーカー』といえば、2019年に公開された映画作品のなかでも非常に評価が高く、主演ホアキン・フェニックスの手に、ついにアカデミー賞のオスカー像を握らせた。そんなホアキンだけれど、ハリウッドで活躍する映画監督の目には、前々からDCコミックスのキャラクターを演じるのに適していると映っていたよう。

画像: 『ジョーカー』撮影現場でのホアキンとトッド・フィリップス監督。

『ジョーカー』撮影現場でのホアキンとトッド・フィリップス監督。

 2010年の映画『ブラック・スワン』で多くの映画賞にノミネート・受賞を果たしたダーレン・アロノフスキー監督は、2000年の映画『レクイエム・フォー・ドリーム』のヒットを受けて、ワーナー・ブラザース・スタジオから、次のバットマン映画の監督を打診されたという。

 そこでアロノフスキー監督は、アメコミ作家の巨匠フランク・ミラーと一緒に脚本を書いていった。しかしキャスティングの段階で、スタジオ側と監督側で意見が対立してしまったそう。監督は、英Empireのインタビューでこう振り返った。

 「スタジオはフレディ・プリンゼ・ジュニアを欲しがって、私はホアキン・フェニックスが良かったんです」

画像: 2005年10月24日に、第9回ハリウッド映画賞に出席した際のホアキン・フェニックス(当時30歳)。

2005年10月24日に、第9回ハリウッド映画賞に出席した際のホアキン・フェニックス(当時30歳)。

ホアキンがバットマンだったら何が起こる?

 なんと、アロノフスキー監督がバットマン役に欲しがったのは、ホアキン! しかしその後、キャスティングだけではなく脚本でも方向性の違いが見えてきたという。監督がこのオファーをされた時の直前のバットマン映画は、ジョージ・クルーニーが主演した1997年の『バットマン & ロビン Mr.フリーズの逆襲』。酷評された今作とはまったく別の作品を作ろうと考えた監督は、フランクも驚くほどの暗い脚本を練っていたという。最終的に、スタジオとの意向の違いを感じた際のことを、アロノフスキー監督はこう話した。

 「『あ~、うん。私たちは2つ別々の映画を作っているみたいだね』と思ったことを覚えていますよ。本当の話です。時代が違ったんですね。私が書いたバットマンの物語は、彼らが最終的に制作したものとはまったく違うタイプでしたから」

 そして、アロノフスキー監督の計画がとん挫したあと最終的に出来上がったのが、そう、あのクリストファー・ノーラン監督による『ダークナイト』3部作。クリスチャン・ベイルがバットマンを演じたこの作品でジョーカーを演じたヒース・レジャーといえば、ホアキンのジョーカーと人気を二分する人気を誇る。

画像: 2008年『ダークナイト』のヒース・レジャー版ジョーカー(左)、2019年『ジョーカー』のホアキン・フェニックス版ジョーカー(右)

2008年『ダークナイト』のヒース・レジャー版ジョーカー(左)、2019年『ジョーカー』のホアキン・フェニックス版ジョーカー(右)

 しかしアロノフスキー監督の案が採用されていれば、バットマンはホアキンになり、ヒースのジョーカーは存在しなかったかもしれない。はたまた、バットマンのホアキンと、ヒースのジョーカーが同じ作品で共演していたかもしれない。別の視点からは、ホアキンがバットマンもジョーカーも演じた初めての俳優になっていたかもしれない。

 アロノフスキー監督の告白は、多くの映画ファンを楽しい想像の世界へ連れて行くことは、間違いない。(フロントロウ編集部)

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