ニューヨーク・プライド・マーチが中止されることに
毎年6月は多くの国でLGBTQ+コミュニティへの理解を深めるプライド月間とされており、各地で華やかなパレードやイベントなどが開催され大盛り上がりする。とくにアメリカ・ニューヨークは、プライド月間を行なうきっかけとなったLGBTQ+史に名を刻む「ストーンウォールの反乱」が起こった地域で、毎年パレードには多くの人が参加。
2019年は、「ストーンウォールの反乱」から50年という記念の年ということもあり、レディー・ガガやヴァネッサ・ウィリアムス、ドラマ『Lの世界』のジェニファー・ビールス、キャサリン・メーニッヒ、レイシャ・ヘイリーといったセレブたちもパレードに華を添えた。
ストーンウォールの反乱とは
1969年アメリカには、「ソドミー法」という同性愛を禁止する法律があった。しかしアメリカのニューヨークの一角には、すでに多くのゲイバーが。そんなある日、クリストファー・ストリートにあったゲイバーのストーンウォール・インに警察が突然の立ち入り捜査を決行。とはいっても、当時の社会ではLGBTQ+当事者が逮捕されることは日常茶飯事だった。しかし、この日はすこし様子が違い、そこに居合わせた200人を越えるLGBTQ+当事者たちが、警察に対して真っ向から反発。警察側も応援を呼び、警察400人対LGBTQ+コミュニティ200人の大暴動に発展した。この事件をきっかけに、LGBTQ+の平等の権利を訴える活動は活発化することに。現在では、この事件は「ストーンウォールの反乱」と呼ばれ、LGBTQ+コミュニティが初めて権力に対して立ち上がった事件として、LGBTQ+史に刻まれる出来事となっている。
そんなニューヨークの一大イベントの1つであるニューヨーク・プライド・マーチが、新型コロナウイルスのため中止されるということが発表された。どんな時もLGBTQ+コミュニティが一緒にお祝いしてきた歴史あるニューヨーク・プライド・マーチが中止されるのは今回が初めて。
この残念なお知らせにニューヨーク市長のビル・デブラシオは、「ニューヨーク市は現代のLGBTQ運動の発祥の地です。50年前の最初のクリストファー・ストリート解放記念日以来、私たちは長い道のりを歩んできました。これはLGBTIA+のニューヨーカーたちが平等のために闘ってきた勇気と反発力の証です。このパンデミックによって一緒に行進することはできなくなりますが、LGBTIA+コミュニティがつくった消えない貢献を祝ったり、平等な権利について闘うことを再び行なったりすることを止めるものではありません」とコメントを発表。
ニューヨークでは、6月いっぱいまで大規模イベントを自粛すると発表しており、ニューヨーク・プライド・マーチ以外にもプエルトリカンデーパレードなどの毎年多くの人が集まるイベントが続々と中止となっている。
ちなみに日本では、4月25日(土)~5月6日(水)がプライドウィークで、4月26日には東京レインボープライド2020のパレードが開催される予定だったけれど残念ながら中止に。しかしパレードの開催日にオンラインパレードが行なわれることが決定しており、4月26日(日)13時~16時の間に「#TRP2020」や「#おうちでプライド」というハッシュタグをつけて、あなたが思うレインボーの写真や画像とメッセージをSNSにアップするよう呼びかけている。(フロントロウ編集部)