歴代ジェームズ・ボンドのトレードマーク
大人気スパイアクション映画『007』シリーズは、1962年に第1作目の映画『007 ドクター・ノオ』が公開されてから、2020年11月20日に公開される最新作『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』まで、25作品にわたって続いてきた長寿シリーズ。
『007』(ダブルオー・セブン)の名で親しまれている本作は、イギリスの諜報機関MI6のエージェントである主人公のジェームズ・ボンドを演じる俳優を入れ替えながら代々続き、現在はダニエル・クレイグが6代目のボンドを演じている。
ダニエルがボンドとして登場したのは2006年公開の映画『007 カジノ・ロワイヤル』から。現在、歴代ボンド役で最も在籍期間が長い俳優になっているが、最新作『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』を最後に、引退を発表している。
そんなジェームズ・ボンドのトレードマークは、なんと言ってもタキシードに黒いボウタイ。このスタイルは、どの世代のボンドでも変わりがない。
実はボンド役になった俳優は他の映画に出演しても黒のボウタイをつけてはいけない、という契約があることを知っていた?
「黒い蝶ネクタイをつけてはいけない」鉄の掟
『007』シリーズは、映画会社にとっても俳優にとっても非常に大きいタイトルであるため、ボンド役俳優が他の映画に出た際には“混乱”を避けるため、黒い蝶ネクタイを身につけてはいけない契約になっていることで有名。
初代のショーン・コネリーも、2代目のジョージ・レーゼンビーも、3代目のロジャー・ムーアも、4代目のティモシー・ダルトンも、5代目のピアース・ブロスナンも、6代目のダニエルも、『007』の在籍期間とかぶっている時は、他の映画で黒いボウタイをつけていない。
1995年に『007 ゴールデンアイ』でボンドとなったピアースは、この「黒いボウタイを身につけてはいけない」という鉄の掟を守るため、演じる役の設定を変更せざるを得なくなったほど。
ピアースは、1968年に公開された映画『華麗なる賭け』のリメイク、1999年に映画『トーマス・クラウン・アフェアー』に出演。この話の主人公は、洗練された大富豪の紳士という設定。紳士といえば、パーティーの際は高級なタキシードに黒いボウタイを身につけて行くもの。もちろん『華麗なる賭け』でも、主人公はそのスタイルだった。
しかしピアースは『007』で結んだ契約のため、『トーマス・クラウン・アフェアー』では黒いボウタイをつけることができなかった。苦肉の策として、彼はもともとの役の設定を変更し、他の客がタキシードでいるなか、シャツの襟元のボタンを開けて登場。さらには、白いボウタイを結ばずに首から下げた状態で歩いて見せた。
「黒いボウタイを身につけてはいけない」という契約は、一見さほど問題なさそうな契約に感じるけれど、「つけないと格好がつかない」役を受けてしまうと、とても苦労するモノだと感じさせてくれる。
もちろんボンド役を14年間にわたって続投したダニエルも、映画『ドラゴンタトゥーの女』でも『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』でも、黒いボウタイとタキシードは身につけていない。そんなダニエル最後のボンド作品にして最新作の『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』は、2020年11月20日に日本公開予定。
※当初こちらの記事では他作品での着用が禁じられているのブラックタイと記述していましたが、正しくはボウタイ/蝶ネクタイです。
(フロントロウ編集部)