親であっても完璧じゃなくて良い
新型コロナウイルスの感染が拡がり、多くの家族が自宅で不要不急の外出を避けて隔離生活を送っている。しかし、家族といえど他の人とずっと同じ空間で何週間も過ごすのは辛いもの。「コロナ離婚」といった言葉も出来上がるほどだけれど、子どもがいる家庭では、さらにその大変さに拍車がかかる。
そこで、自身も6人の子どもを育てており、現在自宅で隔離生活を送る俳優のアンジェリーナ・ジョリーが、世の中の両親に向けて米Timeにメッセージを載せた。
左からノックス、アンジェリーナ、ヴィヴィアン、パックス、シャイロ、ザハラ、マドックス。
「敬愛なる親御さん方へ
あなたたちのことを考えています。みなさんが、必死に毎日を乗り越えようとしている様子を想像しています。そしてあなたたちが、愛する子を導きたいと切に願っていることを、あなたたちがどれだけ心配しているかを、どれだけ考えているかを、内心壊れてしまいそうな時でさえ子どもたちに笑いかけている様子を想像しています。
私は、安定した若者ではありませんでした。事実、私が誰かのママになるだなんて考えたことはありませんでした。親になると決意したことを覚えています。愛することは難しくなかった。誰かに、そして私の人生よりも偉大なものに、自分を捧げるのは難しいことではなかった。何が難しかったかというと、これからは私が、すべての物事が大丈夫であるか確認するのは自分自身の役割だと知ることでした。物事を管理し、うまくいくようにすること。食事から学校、そして病院関係まで、起こったことは何でも。そして、忍耐強くいなくてはいけない。
空想するクセがなくなったことに気がつきました。その代わり、いつでも自分がしていることや考えていることを止め、必要なことに応えられるような準備ができているようになりました。これは新しく取得したスキルです。
そして今、このパンデミックの渦中で、子どもとともに家にいるすべてのお母さんやお父さんのことを考えています。彼らはみんな、正しいことをして、必要に応え、落ち着いてポジティブでいられることを願っているでしょう。
ただひとつ、私を助けてくれたことは、それは不可能だと気づくことです。
子どもたちはあなたに完璧でいてほしいとは思っていないと発見することは、素晴らしいことです。彼らは、あなたにただ正直でいてほしいのです。そして、ベストを尽くしてほしいと。事実、あなたが弱いがゆえに彼らが成長しなくてはいけない機会があるほど、彼らはより強くなるでしょう。彼らはあなたを愛してる。あなたを助けたいと思っている。だから、つまりはチームなんです。そして、彼らはあなたを育てているともいえる。一緒に成長しているんです」
もちろん、まだ成長過程である子どもを頼りすぎてしまったり、依存したりしてしまうのは、子にとっても親にとっても良くない。しかし、新型コロナウイルスという未曽有の災害のなかでは、完璧でない自分を認めて、子どもと協力して、臨機応変に毎日を過ごすことが大事。また、両親が協力しあうのはもちろんのこと、友人や親せきをテレビ電話などで頼ることも、時には良いかもしれない。
家庭内暴力の増加も危惧しているアンジェリーナ
アンジェリーナは育児のほかにも、家庭に閉じ込められることによって家庭内暴力（DV）が増加し、さらにその影響が子どもにまで及ぶことを危惧している。
アンジェリーナは、フェミニストとしても多岐にわたる活動をしている。
「家族や友人から被害者を引き離すことは、加害者が被害者をコントロールするために行なう良く知られた策略です。つまり、新型コロナウイルスを止めるために不可欠な隔離は、うかつにも、傷つきやすい子どもたちを苦しませ、トラウマをより多く生み出す燃料となってしまうのです」
こう話すアンジェリーナは、個人個人が周囲に目を向けて、傷ついている人がいないかどうかを気にかけるべきだと呼びかけている。彼女は今回のパンデミックをうけて、給食が得られなくなってしまった子どもたちに食料を配布するチャリティ団体No Kid Hungry（ノー・キッド・ハングリー）に、約1億1,000万円を寄付。さらに、ケニア、ナミビア、カンボジア、アフガニスタンにある学校を支援するほか、国際連合教育科学文化機関（UNESCO）と協力し、世界中の子供たちが、休校中でも遠距離から教育を受けられるよう支援する団体の設立に携わっている。（フロントロウ編集部）
