外出禁止の緩和計画によって、6月1日から小学校の一部再開の可能性があるイギリスで、学校の校長が公開したメッセージが多くの賛同を得ている。(フロントロウ編集部)

学校内にソーシャルディスタンスはない

 新型コロナウイルス対策のために3月中旬から外出禁止令を出していたイギリスでは、新型コロナウイルスのピークは過ぎたとして、政府が段階的にロックダウンを緩和していく計画を発表している。イギリス政府はそのための5つの条件も設定。それを踏まえたうえで、政府は“最短で”6月1日からの小学校の一部再開を計画。その計画ではクラスの人数を15人以下に抑え、小学校の準備学年である4歳から5歳のクラスと、小学校1年生、6年生が対象となる。

 しかし、この計画には早すぎるという声が多くあがっており、教育労働組合も「無謀だ」と非難。そして、イギリスのケント州にある小学校の校長であるハワード・フィッシャー氏が、学校のフェイスブックに公開したメッセージが大きな反響を呼んでいる。

「昨夜の発表より前に、政府からプランの連絡は何もありませんでした。きっと今週、ソーシャルディスタンスを保ちつつ、登校させる生徒を減らし、生徒たちをバラけさせ、ランチの時間と帰宅時間をずらすことなどを提案してくるでしょう。私は真摯に、そして断固として言えますが、学校においてソーシャルディスタンスなんてものは存在しません。今現在存在しないし、これから存在することもありません。学校で幼少期にかかる病気が拡散させる理由は、それはそれは驚くべきものかもしれませんが、私たちは、みんなお互いに触れあっているんですよ。子供たちを教室の両端に座らせることはできますが、それでもなお、彼らは水ぼうそうに感染するんです。それが学校にいるということなんです。今問題のウイルスは、非常に拡散力が強いんでしょう」

「こんな感じがどれだけの期間続くんですか?残念なことに、昨晩の会見からは何も答えが聞けなかった。なんの解決策も聞こえなかったんですよ。学校で1番幼い子供たちと、1番年上の子供たちを学校に行かせるのだけはオーケーだということが聞こえました。しかし私の頭の中を安心させることは何も聞こえてこなかった。『とりあえずやってみようよ』と言う人もいるでしょう。その意見は尊重しますが、やってみるって何をです?信頼できる検証もなければ、ワクチンも、その先のアイディアもない。そこには、もしかしたら大丈夫という可能性があるだけです。私達に今あるのはそれだけで、子供たちのような素晴らしい贈り物の話をする時には、“オーケー”ではまだ足りません」

なぜ議論しないのかと批判

 長年教育現場を見てきたフィッシャー氏は、とくに生徒の年齢が幼い小学校で、感染病の拡大を防ぐのは不可能だと怒りのメッセージを送った。政府のこの計画は、教育の第1段階にいる学年と、中学校へあがる学年の生徒が教師との時間を取れるようにという理由で計画されたもの。しかしフィッシャー氏は、子供たちがもう1年やり直すことになったとしても、こんなにすぐに学校を再開するべきではないと考えているという。

画像: なぜ議論しないのかと批判

 また、フィッシャー氏は少なくとも、もっとよく議論がなされるべきだとし、「なぜ国をあげての議論になっていないのか。理由は、もしそうなった場合にお金がかかるからでしょう!」と、政府を痛烈に批判した。

 イギリスでは、中学校と高校は9月の新学期まで再開する予定はないが、進学試験を控える学年の生徒には、夏休みまでに教師と対面してサポートが受けられる準備を進めている。(フロントロウ編集部)

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