“現代的”ではないキャスティングに批判もある『フレンズ』
1994年から2004年にかけ、米NBCで10年にわたって放送されていたコメディドラマ『フレンズ』。アメリカ国内に留まらず、ここ日本をはじめ世界中で人気を博したシットコムでありながら、主要キャストが全員白人で構成されたり、LGBTQ+をからかうジョークが用いられたりと、“現代的”な文脈では批判されることもある同作。
同作でロス役を演じたデヴィッド・シュワイマーが今年1月、英The Guardianとのインタビューで「ダイバーシティが欠けていることは認識していた」と発言するなど、出演者のなかにも当時のキャスティングを問題視している俳優はおり、彼は同紙のインタビューのなかで、「全員が黒人の『フレンズ』だったり、全員がアジア系の『フレンズ』があってもいいはず」とも発言している。
そんななか、今回、同作でフィービー役を演じた俳優のリサ・クドローが英The Timesのインタビューに応じて、当時のキャスティングに言及した。
同紙の記者から“もしも今、『フレンズ』をもう一度作ったらどのようなものになると思うか”と訊かれると、「かなり違ったものになると思う」とした上で、「キャストの全員が白人なんてことにはならないのは確かね」と、多様性を意識したキャスティングになるはずと語ったリサ。
タイムカプセルとして考えるべき
一方で、リサは「他のことは分からないけど、タイムカプセルとして見るべきだと思う。どんな過ちを犯したかっていうことではない」とも語り、時代ごとに考え方が異なるのであり、当時の作品は当時の状況を反映したものとして見るべきだと続けた。
今日では一部から批判も寄せられているものの、「番組はとても進歩的だと思っていた」とリサ。「妊娠中の奥さんが同性愛者であることが分かって、子供を一緒に育てることにした男性が登場したでしょう?代理母出産についても扱った。当時はそれが進歩的だったのよ」と、同性愛者や代理母出産をテーマに取り入れるなど、当時としては進歩的な番組作りをしていたはずと語った。
リサは『フレンズ』に出演したことを後悔はしていないとした上で、同作について「人々と繋がることについて」のドラマでもあると説明。「今、このドラマがウケている理由の一つとして、若い人たちが無意識のうちに人との繋がりに懐かしさを感じているところがあると思う」とリサ。
「それは、このパンデミックだからそう思うのではなくて、以前からそう」とした上で、「現実としては、『フレンズ』はよかったとしか言いようがない」と、現代的には批判される要素があるかもしれないけれど、“人々との繋がり”を感じられる点などを挙げ、『フレンズ』は現代の視聴者の心にも訴えるものがあるはずだと語った。(フロントロウ編集部)