ポケモンがハリウッドで映画化
2020年5月22日の金曜ロードショーは、『名探偵ピカチュウ』。日本発のキャラクターであるポケモンのピカチュウが、CG/VFXと実写で映画化。
物語の舞台は、ポケモンと人間がともに住むライムシティ。21歳の青年ティムは、探偵だった父ハリーが亡くなったという知らせを受けて、ハリーの部屋を訪れる。するとそこにはピカチュウがいたのだけれど、ピカチュウの声はなぜかおっさん声…。ピカチュウは記憶喪失だったけれど、自分が生きているならハリーもまだ生きているはずだと話し、ハリーが直前まで追っていた事件をティムと一緒に調べ始める。
『名探偵ピカチュウ』可愛すぎるポケモンたち
ピカチュウの声は、なんとマーベル映画『デッドプール』のライアン・レイノルズが演じ、その他にもリタ・オラやスキ・ウォーターハウス、渡辺謙など、豪華俳優たちが共演を果たした。
しかし今作でのメインキャラクターたちといえば、やっぱりポケモン!
踊るピカチュウや泣き顔のピカチュウの可愛さはけた違いで、しわくちゃ顔のピカチュウの人形は人気に火がつきすぎて、高額で転売される事態に。もちろんピカチュウだけでなく、カバのように群れになって歩くフシギダネや、火を噴く迫力のリザードンなど、あのポケモンたちが本当に世界のどこかの街にいるように思える映像はファンも納得のクオリティとなっている。
デザインは1人のファンの作品から!
こういった映画には、コンセプトアートと呼ばれるイメージを視覚化したイラストや画像が制作されるのだけれど、本作のコンセプトアーティストRJ・パルマーが起用された経緯は、かなり現代的。じつは彼は、インターネットに自身の“ファンアート”を投稿していたポケモンファンの1人!
彼のポケモンのファンアートは「リアリスティック・ポケモン」と呼ばれて人気。
とはいえ彼は以前から有名ゲーム会社でコンセプトアーティストとして働いていたり、フリーランスで様々な仕事を手掛けたりしていたうえ、ハリウッドの映画に採用されるぐらいなので、その作品のクオリティはもちろんかなり高い。そのため、その界隈では知られた存在だったのだけれど、さすがにこの仕事のオファーをもらったときには驚いたという。
彼によると、制作会社のレジェンダリー・ピクチャーズで働く今作のプロダクション・デザイナーがインターネットでRJ・パルマーのファンアートを発見。プロダクション・デザイナーからのスカウトの電話を火曜日にもらい、その次の月曜日から一緒に働くことになったという。彼が住んでいたのはサンフランシスコで、オフィスがあったのはロサンゼルスだったため、かなり急に日常が変化したそう。RJ・パルマーは米All Gamersのインタビューでこう振り返った。
「公式な職業名としては多分、コンセプトアーティスト兼ジュニアイラストレーターとして雇われたんです。映画の仕事は初めてだったので正確には覚えていないですが。部署の中では私が1番ポケモンに詳しかったですね。なのでみんなに聞かれました。このポケモンは何?あのポケモンは何?ってね。私はみんなにポケモンの基礎を教えて、ポケモンを1日中描いて、夢のような仕事でしたよ」
好きこそものの上手なれとは言うけれど、インターネットに公開していた自分の作品がきっかけで、ハリウッド超大作のコンセプトアーティストにスカウトされるだなんて夢のような話。現在彼は、人気コンセプトアーティスト/イラストレーターとして売れっ子となっている。(フロントロウ編集部)