映画『ハリー・ポッター』シリーズの原作となった同名児童小説の原作者であるJ.K.ローリングが新作『The Ickabog(ザ・イッカボッグ)』の出版を発表。第1章と2章を作品の公式ウェブサイトで無料公開した。(フロントロウ編集部)

『ハリー・ポッター』作者が新作をネットで無料公開

 新型コロナウイルス禍で自宅学習を余技なくされた子供たちやその保護者、遠隔授業を行なう教師たちをサポートする目的で、自著『ハリー・ポッター』(以下『ハリポタ』)の全巻の著作権を一時的に取り払ったり、『ハリポタ』ファンが自宅にいながら楽しめる特設サイトを開設するといった独自の取り組みを行なってきたイギリス人作家のJ.K.ローリングが、新たなサプライズを告知した。

 これまでと同様の目的で発表されたのは、ローリング氏が過去5年間秘蔵してきた新作『The Ickabog(ザ・イッカボッグ)』のリリース。

 7月にかけて、公式サイトで連載され、その後、11月に書籍およびeBook(電子書籍)が発売されるという児童向け小説である同作は、『ハリポタ』やそのスピンオフシリーズである『ファンタスティック・ビースト』の世界とはまったく関係ない、独立したファンタジー作品になると、ローリング氏はこう解説している。

 「『The Ickabog』は朗読用の作品として書いたものなので(無意識でそうなったのですが、私は自分の子供たちに読み聞かせました)、連載には適していると思います。7~9歳くらいの子ならば、自分で読むこともできるでしょう」。

 『The Ickabog』の第1章と第2章は、出版の告知と同時にすでに公式サイトで英語版が公開されており、各言語への翻訳版のリリースも現在準備中であることが明かされている。

 初夏にかけて毎週1~2章ずつネットで無料公開することを決めた意図について、ローリング氏は、「(新型コロナ禍で)ロックダウンを経験していたり、学校が再開したとしても、奇妙で不安な時を過ごすこととなってしまった子供たちが自分で読んだり、誰かに読んでもらったりできるように」と明かしており、さらに11月に発売される書籍版の全収益を新型コロナウイルスにより被害を受けた人々の救済のために寄付することを約束している。


挿絵を一般公募

 さらに、ローリング氏は、『The Ickabog』のストーリーを読んだ子供たちに、その世界観に着想を得たイラストを描き、SNS上で「#Ickabog」のハッシュタグとともにシェアして欲しいと依頼。

 ローリング氏は早くも寄せられた子供たちの作品を自身のツイッターで紹介しているほか、選りすぐりの作品を書籍版の挿絵として採用することも発表している。

 『The Ickabog』は“パワー(能力/権力)に関する真実と乱用に関する物語”で、10年以上の構想を経て5年ほど前に書き上げられた作品だそう。現在、世の中で起きている事柄に呼応する作品ではなく、どんな時代にも、どんな国にも当てはめて考えることができる、タイムレスなテーマを軸としているという。

 つい最近まで、屋根裏部屋に大切にしまい込まれ、ローリング氏の2人の子供たちしか物語の内容を知らなかったという『The Ickabog』。

 現地時間の5月26日に公開された第1章と第2章は、簡単にだまされてしまうフレッドという名の王様によって統治されている「コルヌコピア」と呼ばれる広大な土地が舞台。魔法のように豊かな王国の最北端には、“イッカボッグ”の伝説で知られるラクラスタという名の地域があり…といった内容が連載回を追うごとに徐々に明かされてゆく。(フロントロウ編集部)

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