アジア圏では当たり前のコロナ対策に懸念
今年3月に米ウォルト・ディズニー・カンパニーの最高経営責任者(CEO)に就任したボブ・チャペック氏が、現在、新型コロナウイルスの感染拡大防止のために臨時休園しているカリフォルニア州アナハイムにあるディズニーランド・リゾートとフロリダ州オーランドにあるウォルト・ディズニー・ワールド・リゾート(以下ディズニーワールド)の営業再開後のコロナ対策について、米CNBCのインタビューで語った。
そのなかで、チャペック氏が営業再開後の「一番の問題」として挙げたのは、ゲストへのマスク着用義務。今年5月にいち早く営業再開に踏み切った上海ディズニーランドでは、ゲストにマスク着用と社会的距離の維持を義務付けており、このルールはこれから営業が再開されるアメリカや日本、フランスのディズニーランドでも適用されることになる。
しかし、日本や中国などのアジア圏では、新型コロナウイルスによるパンデミックが発生する前から、いわゆる“マスク文化”が定着していたが、長い間、アメリカではマスクは主に医療従事者がするもので、“一般の人がするものではない”と考えられてきた。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大によって状況が一変。一部の州で外出時のマスク着用が義務付けられるなど、マスク文化が定着してきているように思われたが、実際のところ、やはり拒否反応を示している人が多いよう。
チャペック氏は、「ゲストへのマスク着用義務は、カルチャーによって受け止め方が違うと思います。アジア圏ではマスクをすることはごく当たり前のことで、新型コロナウイルス感染症が世界的に流行する前からみんな公の場でマスクをしていました。でも、アメリカではそれは通用しない」とコメント。
近所に買い物へ出かけたり、散歩に出かけたり、短時間の着用なら我慢できるかもしれないが、ディズニーランドではどのゲストも長時間滞在することが予想される。となると、食事をする時以外はずっとマスクをして過ごさなければならないわけだが、チャペック氏はアメリカ人にそれを強いるのは“難しい”と考えているよう。
恐らく、ディズニーランドで遊べるなら、むしろ喜んでマスクをするという日本人は多いはず。かなり初歩的な感染症対策でもあるマスク着用義務が「営業再開後の一番の問題」というのは、日本人やアジア圏の人たちにとっては少々理解しがたいが、こればかりは文化の違いなのでしょうがない。
ちなみに、カリフォルニアのディズニーランドはまだ営業再開の目処が立っていないが、ディズニーワールドは、現地時間7月11日にマジック・キングダムとアニマル・キングダム、7月15日にエプコットとハリウッド・スタジオの営業を再開することを発表している。(フロントロウ編集部)