娘は3歳の時からセクシャリティを自認
以前、フロントロウでお伝えしたが、2019年に現役を引退した元NBA選手でマイアミ・ヒートのレジェンド、ドウェイン・ウェイドの愛娘のザヤ(13)は、12歳の時にトランスジェンダーであることを世間に公表。
当時、まだ12歳だったザヤがトランスジェンダーとして生きることを決断し、それを公にしたことに反発する声も少なくなかったが、ドウェインとザヤが公表に踏み切るまでにどういったステップを踏んだのかが明かされると、2人を応援する声のほうが大きくなり、今ではすっかりザヤと同じ境遇にある子供やその家族の“お手本”のような存在として多くの人たちから支持されている。
ドウェインによると、男性として生まれたザヤが自分の性別に違和感を覚え、最初にトランスジェンダーだと認識したのは3歳の時だったという。しかし、幼い頃はストレート(両性愛者)とゲイ(同性愛者)しか知らなかったため、自分はゲイに分類されるのではないかと考えていた。その後、ザヤは自分なりにリサーチを重ね、トランスジェンダーであるとの結論に至り、家族にそのことを伝えたそう。
「彼女はまだ12歳だったから、公表するかどうかとても迷った。12歳の娘に人生の大きな決断をさせることについて、世間の人たちがどういう反応をするのか大体想像がついたからね。でも、私たちは誰よりも娘のことを理解している。子供のために必要な情報をできる限り集める。それが親の仕事だと思う」。先日、自宅からリモート出演した人気トーク番組『エレンの部屋』でこう語ったドウェインは、ザヤからカミングアウトされたあとすぐに、妻で俳優のガブリエル・ユニオンと協力してリサーチを行ない、同性愛者の知人から話を聞くなどして、何が娘にとってベストなのかを考えたという。
また、かつてのドウェインは「仲間とロッカールームで間違った表現や言葉を使って会話をするタイプの人間」だったが、ザヤと話して色々と学んでいく過程でこれまでの言動や考えを改めると同時に、娘に親の考えや望みを押しつけてはいけないと思い、いかなるプレッシャーを与えることもしないと心に誓ったことを明かした。
親として子供のために“するべきこと”
“息子だろうが娘だろうが、親としてするべきことは自分の子供に無償の愛を注ぎ、全力で応援すること”
ともに同じ考えを持つドウェインとガブリエルは、親として当たり前のこと(=子供に無償の愛を注ぎ、全力で応援すること)をしただけなのに、それが世間で注目を集めて評価されていることに「少し違和感を覚えている」と話す。けれど、残念なことに、世の中には2人が言うその“当たり前のこと”ができていない人や、その“当たり前”の愛情やサポートが受けられない子供たちがたくさんいる
「自分の子供を、必要がなくなったら捨てられる“使い捨て品”だと思っている親が本当に多いと思う。そういう親は、自分のイメージする完ぺきな子供像に自分の子供が当てはまらないと、子供に対して興味を失ってしまう。それってものすごく悲惨なことだと思う。でも、私たちはザヤのことを愛している。それは私たちにとってとても自然なこと。私たちは、子供たちに幸せで、健康で、思いやりのある人になることを望んでいる。だから、私たちはその考えに乗っ取って行動しようとしてる」と語ったガブリエルと同様に、ドウェインも「ザヤを信じて、彼女の言葉に耳を傾けることにした。この旅では、彼女が私たちを導いてくれるんだ」と、親としてありのままのザヤを愛し、娘の決断を100%支持している。
そんなドウェインは、以前、出演した米情報番組『Good Morning America(グッド・モーニング・アメリカ)』で同じような境遇にある人たちに向けてアドバイスを求められるた際、「まずはオープンマインドでいることが大事。自分でリサーチして、子供に直接質問して、ほかの人たちの意見も聞くんだ。これはとても重要な会話だからね。うちの12歳の娘は毎日のように俺たちと会話をしてる。これは彼女の人生なんだ。やり直しがきくゲームとは違う。俺たちには彼女の心を守る義務がある。彼女の幸せを守らなきゃいけないんだ。そのためにできるかぎりのサポートをしてあげないといけないんだ」と、熱い思いを語っていた。
ちなみに、毎年6月はLGBTQ+への理解を深めるための「プライド月間(Pride Month)」だが、ドウェインとガブリエルは、昨年、ザヤがトランスジェンダーであることを公表したことをうけて、ザヤと一緒にプライド月間恒例のパレードに家族で初参加した。
今年は新型コロナウイルスの影響で、全米各地で予定されていたプライド月間関連のイベントやパレードはすべて“リモート開催”となる予定。(フロントロウ編集部)